蒸留工程のCO2排出ゼロにする技術活用、サプライチェーン構築目指す
化学機械装置の製造などを手掛ける木村化工機は6月24日、国産の環境負荷が低い航空燃料「SAF」の商用化と普及拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY(アクト・フォー・スカイ)」に加盟したと発表した。他の加盟企業と連携し、サプライチェーン構築を目指す。
同社は2023年、SAF原料用バイオエタノールを蒸留する際のCO2排出をゼロにする「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」の販売開始を発表するなど、環境負荷低減に取り組んでいる。
ICAO(国際民間航空機関)やIATA(国際航空運送協会)が2050年までに、05年比で航空領域のCO2排出量を半減させる目標を設定。その達成には、30年に使用燃料の10%をSAFへ移行する必要があると航空業界では目されている。
国土交通省も30年には「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」ことを目標に定めているが、20年の世界のSAF供給量は、世界のジェット燃料供給量の0.03%にとどまり、普及が進んでいないのが実情。同団体はそうした状況を打開することを目指している。
ACT FOR SKYメンバー(今年4月10日時点)
SAFの蒸留プロセスにはボイラー蒸気が使われてきたが、持続可能な燃料SAFを蒸留する際、ボイラーによって大量のCO2を排出することが課題だった。同社の「省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」は、ボイラー蒸気を不要とし、電力のみで蒸留を行うのが特徴。ヒートポンプを採用しており、装置から排出される低温レベルの熱をヒートポンプで回収、有効エネルギーとして再利用する。
原子力または再生可能エネルギー由来の電力を使用すれば、CO2排出量ゼロで、SAF原料を蒸留できるのがメリットという。同社は自社の技術を積極的に生かしていきたい考え。
省エネ型ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置イメージ図(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)