【現地取材】ミヨシ油脂が茨城・阿見に開設の新物流拠点公開、初の自動倉庫導入

【現地取材】ミヨシ油脂が茨城・阿見に開設の新物流拠点公開、初の自動倉庫導入

総投資額59億円、電動式移動ラックも採用し業務効率化図る

ミヨシ油脂は8月20日、茨城県阿見町に開設した新たな物流拠点「阿見倉庫」をメディアに公開した。東京都葛飾区堀切の本社事務所や物流倉庫、東京工場の土地を売却するのに伴い、同社が取り扱っている食品用・工業用油脂素材の保管・出荷機能を新拠点に移すとともに、自動倉庫を取り入れるなどして物流業務の効率化を図る。総投資額は約59億円に上る。

同社が自社物流拠点を置くのは初めて。現在、移管準備を進めており、新拠点の本格的な稼働開始は今年10月を目指している。

阿見倉庫は圏央道の阿見東ICから1.6kmで、主要物流企業の自社倉庫や大手デベロッパーの賃貸物流施設が立ち並ぶ一角に位置している。

自動倉庫を有し、主に冷蔵・冷凍品を保管するA棟(延床面積1万2016㎡)と、常温品を主に保管するB棟(990㎡)の2棟から成る。

このうちA棟は最大14台同時接車可能なトラックバースを備え、4t車や10t車、ウイング車に対応可能。村田機械製の自動倉庫と有軌道台車を設置し、パレットに載せた製品を台車が20℃、10℃、5℃の3温度帯別に自動で振り分け、保管する計画。出荷能力は1分にパレット1枚分、保管能力は約5000パレットを想定している。

自動倉庫以外の保管スペースでも、マイナス25℃のエリアにダイフクの電動式移動ラックを設置、固定棚よりも保管効率を大幅に高めることを目指している。


阿見倉庫A棟の外観

安全対策として、場内は一方通行運行とし、監視カメラや顔認証システムを設置。環境対策として、全館LED照明、人感センサー、冷蔵機能向けCO2による自然冷媒、騒音吸音パネル、補助発電向け太陽光発電設備も導入している。

ダイバーシティ推進として、バリアフリー対応のエレベーターや駐車場、誰でもトイレを取り入れるなど、ミヨシ油脂として新たな試みを導入している。

新倉庫を稼働させる阿見物流倉庫建設運用プロジェクトのリーダーを務めるミヨシ油脂の小田島淳悦氏は「物流現場の人手不足が深刻化していることなどを考慮し、自動倉庫を自社拠点として初めて取り入れた。まずは安定的に運用できるようにし、メーカーとしての供給責任を確実に果たしていきたい」と語った。

(藤原秀行)

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