顧客体験向上、売り上げ増図る
損害保険ジャパンは8月26日、米国でEC事業支援を手掛けるNarvar(ナーバー)と業務提携したと発表した。
コールセンター運営の日本エマージェンシーアシスタンス(EAJ)とも連携し、ECサイトで販売した商品の返品対応を一括でサポートするサービス「Return+\リターンプラス」を同日始めた。
EAJが事業主体となり、物流業者やカスタマーサポートの手配などを担う。
ナーバーが2020年に実施した米国の消費者2161人を対象とした調査によると、消費者の96%が、返品プロセスに満足したECストアでのリピート購入の意向を持つ一方、33%は返品に不便を感じたECストアで次の購入はしないと回答した。
多くのEC事業者が「広告」「SNS」「Web接客」「レコメンド」など様々なマーケティング施策の導入などに力を入れており、商品「購入前」の顧客体験向上施策は充実している一方、「購入後」については注力されることが少なく、ソリューション自体が限られているのが実情だった。
そこで、損保ジャパンはユーザーの返品体験を改善することでEC売り上げ拡大につながると考え、EC事業者がより簡単に安心して利用できる返品サービスを提供するため、ナーバーとタッグを組むことにした。
新サービスは、商品購入者が「Return+\リターンプラス」のサービスサイトに表示される注文履歴から返品したい商品を選択すると、複数の返品方法から最も便利な方法を選ぶことが可能。例えば、梱包不要となる最寄りの店舗での返品や、QRコードを使いコンビニエンスストアや宅配ロッカーから返品するペーパーレス返品などが選択できる。
「Return+\リターンプラス」のサービスサイトイメージ(損害保険ジャパン提供)
新サービスの活用でEC事業者は人手をかけて管理している返品業務を自動化し、社内業務量とコストを削減できると見込む。また、返品を希望する商品購入者の住所や返品理由などに応じて、返品先を倉庫、店舗、品質管理部門などと柔軟に設定できるため、在庫や商品管理の効率化にも役立てられるとみている。
さらに、返品傾向や返品理由などは自動的に分析し、「Return+\リターンプラス」のEC事業者用管理ページに表示するため、商品ページの改善や商品開発にも活用することで将来の売り上げ拡大にもつなげられるとみている。
各社の役割
損保ジャパン |
EC事業者を含む「Return+\リターンプラス」を利用または運営する事業者の皆様のビジネスを支援する損害保険の提供 |
Narvar |
商品購入者へ多様な方法を提示し円滑な返品を実現する返品UIを提供 |
日本エマージェンシーアシスタンス |
「Return+\リターンプラス」の事業主体となり、返品送料の固定化に加え、Narvarが提供する商品購入者が直観的に入力可能な返品UI、物流、カスタマーサポートの手配をワンパッケージで提供 |
(藤原秀行)