10月に稼働開始へ
花王は8月30日、愛知県の豊橋工場(愛知県豊橋市)内の次世代倉庫で、日本で初めて自動運転フォークリフトによるトラックへの積み込み作業の実用化に成功したと発表した。
豊田自動織機と共同で自動化を実現した。今年10月に自動化のシステムを本格導入し、日常的に稼働を始める予定。
生産工場から次世代倉庫内への製品入庫から出庫までに加え、トラックへの積み込み作業までを自動化することにより、深刻化する物流現場の労働力不足をカバーし、業務効率化を促進する。
2023年3月に完成した次世代倉庫
実際のオーダー・製品で積み込み作業を行う自動運転フォークリフト
豊橋工場は「豊橋コネクテッド・フレキシブル・ファクトリー」構想を推進。生産・物流機能一体型運営による無駄のない製品の供給や、リードタイムの短縮、物流コストの低減、CO2排出の抑制を図っている。さらに、自動化を進めることにより、労働環境の改善や、能率的で柔軟な働き方の実現にもつなげようと取り組んでいる。
ヘアケア・スキンケアなど少量多品種の製品を生産する豊橋工場は23年3月に次世代倉庫が完成。工場から製品を入庫、仕分け、出庫するまでを自動化することにより、柔軟な物流体制への対応を進めてきた。
しかし、出庫後のトラックへの積み込み作業は、荷物やトラックごとに異なる規格への対応、停止位置の誤差調整、長距離輸送に耐えられる荷崩れ防止の養生も必要なため、人の経験を活かしたフォークリフト運転技術が求められてきた。
花王は積み込み作業の自動化に向け、21年に豊田自動織機と協働を開始。7月に自動運転フォークリフトの実用化を達成した。
今回は、豊田自動織機が開発した「トラック荷役対応自動運転フォークリフト」を採用。高性能レーダーの3D-LiDARを用いたトラック位置検出、ガイドレスでの自動運転に加え、AIを搭載することで、画像認識・ディープラーニングによるマーカーレスでのパレット位置・姿勢検出を可能にしている。
荷役位置を自動で判断しながらトラックまでのアプローチ走行経路を自動生成するため、トラックの停車位置や積荷の姿勢が一定でない状況下でも荷役の自動化が可能になると見込む。
花王は自動化をかなえるロボットフレンドリーな倉庫環境の構築と、製品入庫からトラックへの積み込みまでをスムーズに自動化するオペレーション設計を担当。さらに、トラック輸送にも対応した業務プロセスの構築や倉庫内の設備を制御するITシステム(WCS)との連携も担った。
豊田自動織機の技術を基に、花王の次世代倉庫の環境にいち早く導入するための仕様検討を両社で進め、今般の実用化にこぎ着けた。引き続き、さらなる効率化をめざした協働を継続していく方針。
自動運転フォークリフトは次世代倉庫に加え、国内外の花王グループの生産・物流拠点への導入も検討する。
業界内でも広く活用されるよう知見を広げていくことにより、社会課題となる、労働力不足や能率的で柔軟な働き方への対応を進めてまいります。
(藤原秀行)※いずれも花王提供