自動車の電動パワステ知見活用、性能向上を後押し
トヨタ自動車グループで自動車部品大手のジェイテクトは9月12日、自動車の操舵をつかさどる電動パワーステアリングのコンピタンス(独自の強み)を生かし、ドローンの姿勢や速度などを制御するシステム「フライトコントローラー」の開発に着手したと発表した。
ジェイテクトグループは、製品と製造設備に関する要素技術や知見のコンピタンスを一堂に集約したテクノロジープラットフォーム(テクプラ)を活用し、各コンピタンスを掛け合わせて社内や社会の課題解決策を提案するソリューション共創センター(ソリセン)の開設を進めている。
フライトコントローラーの開発で、ジェイテクトがテクプラとソリセンによって「ソリューションプロバイダー」へ飛躍することを確実にしていきたい考え。
ジェイテクトの姿勢制御システムが搭載されたドローン(プロドローン提供)とフライトコントローラー試作品
ジェイテクトでは2022年からドローンの運動性能向上に貢献するソリューションとして、蓄電デバイスの高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy」(リバディー)をドローンメーカー各社に提案している。
これまでの取り組みに加えて、ジェイテクトは自社の持つコンピタンスを活かし、ドローンの姿勢制御の信頼性を高めるフライトコントローラーを開発、ドローンの性能向上をさらに後押ししていくことを目指す。
点検・測量や短距離の物流に投入されるマルチローター型ドローンは、複数のプロペラのローター回転数を制御することで飛行しており、この制御には複数のセンサーに基づく安定姿勢の演算とローターへの指令といった高い応答性が求められている。
ジェイテクトは電動パワーステアリングで培ったモーター制御技術や安全設計技術といったコンピタンスを活かして開発を進めているフライトコントローラーをドローンに搭載することで、高い応答性や姿勢安定性、信頼性を兼ね備えた姿勢制御を実現し、従来品と比べて突風発生時の安定性を向上できることが確認できたと説明。
Libuddyとの相乗効果により、高性能なドローンの姿勢制御を実現していく構想だ。
姿勢制御システムの概要図
現在、ジェイテクトが出資しているドローン関連のスタートアップ、プロドローンと連携し、継続的な飛行試験、各種要素試験による姿勢制御システムの開発、検証を進めており、早期の実用化を図る。
(藤原秀行)※いずれもジェイテクト提供