ダイヘン、トラックなど商用EV向けワイヤレス給電事業を展開へ

ダイヘン、トラックなど商用EV向けワイヤレス給電事業を展開へ

三菱ふそうや三菱総研と共同、運輸部門の脱炭素加速図る

ダイヘンは9月26日、環境省の「令和6年度(2024年度)運輸部門の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業」に、「ワイヤレス給電システムの実証および導入ガイドライン作成(応募名称)」で応募、採択されたと発表した。

商用EV(電気自動車)向けのワイヤレス給電を展開することで日本の運輸部門のEV化を後押しし、脱炭素を加速させていく構え。まず複数箇所で設備を導入する見通し。

同事業はダイヘンが事業代表者として推進し、ガイドライン策定は三菱総合研究所、EVトラック関連事業は三菱ふそうトラック・バスからの車両提供を受け、共同で実施する。

環境省事業は商用EV普及促進に寄与するエネルギーマネジメント技術の社会実装を重点分野に位置付け、その一環としてワイヤレス充電システム(WPTシステム)の実用化を図っている。

WPTシステムは、EVを停めるだけで容易に充電が可能なため、バス・トラック・タクシーを使用する運輸部門では特に、停車する空間・時間を有効活用でき利便性を飛躍的に高められると見込まれている。

運用面でも、充電に要する手間の削減、充電忘れの防止も図ることが可能なため、環境省が目指す脱炭素化に向けたEV化の促進に非常に役立つシステムとして期待が高まっている。

今後のWPTシステムの普及には、自動車メーカーなどと連携し、車載取付改造・各種手続き・導入ガイドラインの制定などの導入しやすい環境整備が重要とみて、同事業を展開することにした。

同事業はバス・トラック・タクシー事業者の商用EVをユースケースとして、全国10カ所程度で営業運行し、実環境におけるWPTシステムの実装検証を行う。ダイヘンは検証を通じてWPTシステムの課題抽出と解決策考案を図り、導入ガイドラインを策定していくことを目指す。

3社の役割
ダイヘン(事業代表者)
・高出力(30kW)、利便性、安全性など実用化に必要な機能を全て備えたWPTシステムの開発
・バス、トラック、タクシーなどの商用EVへのWPTシステム搭載
・それぞれのユースケースにおける課題抽出、検証、解決策の検討・実施
・自動車メーカと連携したさらなる利便性向上機能の追加搭載検討・実施
・導入ガイドライン策定、導入しやすい環境整備・法整備の検討・実施

三菱総合研究所(共同実施者)
・システム導入手順や利用者の便益を示した導入ガイドライン策定
・実装フェーズの費用便益・脱炭素効果の試算、社会実装に向けたビジネスモデルの構築

三菱ふそうトラック・バス(共同実施者)
・EV小型トラック「eCanter」の提供、WPTシステムの搭載
・自動車メーカの見地からWPTシステムの実用性・車両搭載につなげるための可能性検証
 ※EVバスやタクシーなどを使用した事業者との検証事業については、他の自動車メーカーや関連企業との協業により実施する

(藤原秀行)

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