中部地方の保管ニーズに対応、全国配送も
山九は10月1日、三重県菰野町に同日開設した危険物を専門に取り扱う物流拠点「北勢第3物流センター」をメディアに公開した。
敷地面積は1万879㎡で、1棟当たり延床面積が約1000㎡の危険物倉庫(常温)4棟と事務所棟で構成。消防法で定める危険物第4類に対応し、リチウムイオンバッテリーなどを受け入れるほか、医療や半導体といった領域で使われる中間財や原料などの高機能製品を扱う。
新設した北勢第3物流センター
それぞれの危険物倉庫は屋根裏に遮熱シートを取り付け、40℃以上にならないよう夏場の急激な温度上昇を防ぐ。今後、毒劇物の取り扱い許可を取得する予定で、保税蔵置場の許可も申請する準備を進めている。また、幅が5mの大型ひさしを4棟全てに取り付け、悪天候時でも円滑に作業できるようにしている。
1棟には固定ラックを採用、段積みできない貨物も効率的に保管できるよう努めている。
倉庫内。屋根裏に取り付けた遮熱シートで夏場の急激な温度上昇を抑制する
固定ラックを設置
大型のひさし
新センターの近隣には既に危険物をメーンで取り扱う「北勢第1物流センター」「北勢第2物流センター」を運営しており、新設した物流センターと合わせると北勢エリアで山九が手掛ける危険物倉庫は12棟に上り、保管能力は最大3500t拡大する。
新センターに隣接している既存センターの危険物倉庫は小分けなど流通加工機能を備えており、既存センターと連携してより多様なサービスを提供できるようにする。
東名阪自動車道の四日市東ICから約10km、新名神高速道路の菰野ICから約7km。交通渋滞が少なく、移動がスムーズな点などをアピールポイントにしたい考え。
三重県内で化学プラントなど多くの製造業が集中している四日市市から車で30分以内と近い地の利を生かし、同市の既存顧客など中部エリアの危険物保管ニーズに対応する。東西日本の中間エリアに位置していることを踏まえ、新センターを全国への配送拠点として運営することも視野に入れている。
山九は昨年5月、大阪府高石市で危険物倉庫8棟を備えた関西最大級の機能性化学品専用倉庫「山九関西ケミカルセンター」を立ち上げたほか、今年は兵庫県姫路市の危険物倉庫を拡張した。新設したセンターを含めると全国13カ所で危険物倉庫を展開している。今後も電気自動車(EV)の普及などで危険物の保管輸送が旺盛とみており、輸送などと組み合わせた総合的な危険物物流対応を強化していく構えだ。
万が一の事態に備え、作業員が体や目をすぐに洗浄できる設備を配置している
雨水は通路脇に排出されるようにして、庫内に水が侵入しないよう配慮している
(藤原秀行)