ヤマト、川崎市の営業所で再エネ由来電力100%使用開始

ヤマト、川崎市の営業所で再エネ由来電力100%使用開始

廃棄物処理施設で発電分調達、“地産地消”図る

ヤマト運輸と川崎市、同市などが出資している川崎未来エナジーの3者は10月16日、同市内にある環境省設定の「脱炭素先行地域」で、官民が連携して再生可能エネルギー由来電力の地産地消実現に取り組むと発表した。

同日、ヤマト運輸の「高津千年(ちとせ)営業所」が川崎未来エナジーからの電力受給を開始し、再エネ電力を100%使用する営業所として稼働を開始させた。川崎未来エナジーが民間企業に再エネ電力を供給するのは初めてという。

川崎未来エナジーは昨年10月、市内で再エネ電力の地産地消を推進することを目指し、川崎市のほか7事業者が出資・設立した。今年4月、川崎市内の再エネ電力利用拡大に向け事業をスタートさせた。

主に市内の廃棄物処理施設で、家庭から出る普通ごみなどの焼却で生じる電力を調達し、学校をはじめとした市内の公共施設に供給するなど、再エネ電力の地産地消に取り組んでいる。

ヤマトグループは2050年温室効果ガス自社排出実質ゼロの実現を目指し、EV(電気自動車)や太陽光発電設備の導入などを進めている。複数台のEVを運用する物流施設では、夜間の一斉充電により電力コストが増加することや、太陽光発電だけではEVや営業所の電力を賄えないこと、発電量が天候に左右されることなどの課題を抱えていた。

川崎市などと組み、同営業所でこうした課題の解決を図る。

高津千年営業所は屋根に設置した太陽光発電設備と蓄電池に加え、川崎未来エナジーが供給する再エネ電力を活用することで、営業所の電気や集配業務に使用するEV全25台の電力を川崎市内で発電した再エネ電力で賄う。

ヤマト運輸が独自に構築したEMS(エネルギーマネジメントシステム)は、営業所内の電力使用量、太陽光発電設備での発電量、蓄電池の充放電量をリアルタイムで可視化・自動で調整し、効率的なエネルギーマネジメントを可能にする。最大使用電力を制御することで、電力コストを低減する。


運用イメージ


EMSによる電力制御の比較(イメージ)

(藤原秀行)※いずれも3者提供

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