乱雑に置かれた多様な物品も94.5%の確率でピッキングに成功、26年度以降の実用化目指す
東芝は10月17日、深層学習を用いて、複数の吸着パッドを持つロボットハンドがピッキングする対象物の形状や姿勢に合わせ、つかむ位置とつかみ方(把持計画)を正確かつ高速に計算するAI技術を開発したと発表した。
把持計画はロボットが物体を正確に掴むための「位置推定」と「姿勢推定」から計算。ピッキングロボットは正確な把持計画を計算することで効率的かつ確実に物体を取り扱える。これまで自動化が難しかった、乱雑に置かれた、形状や外観の異なる物品のピッキング作業を自動化できると見込む。
今後、実際の物流倉庫で実証するとともに、研究開発を継続し、2026年度以降にこのAI技術を搭載した製品の実用化を目指す。
東芝が開発したAI技術の有効性を計算機で検証した結果、同様の条件の他の研究と比較し、計算時間が10分の1以下の0.47秒、成功率は6.2%向上し80.1%を実現したことを確認。世界最高の平均計算速度と平均成功率を達成したという。
AI技術を実機のピッキングロボットに適用しピッキング作業を行ったところ、94.5%の確率で乱雑に置かれた形状や外観の異なる物品のピッキングに成功、実用化レベルに達していることを確認したという。
封筒や書類などの平面の物品から、各種サイズの箱や円筒容器、チューブ容器やブリスターパックなどの高さや奥行、凹凸のある物品など、形状や外観の異なる多種多様な物品をロボットハンドで高速かつ正確に自動でピッキングできるようになると想定。
学習に際しては技術者によるプログラミングが不要で、ロボット導入後に対象物の種類が増えた場合でも追加学習が容易となり、ロボット全体のコスト低減につながるとみている。
AI技術の詳細は10月14~18日にかけてアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国で開催されるロボティクス分野で世界トップクラスの国際学会「IROS(IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems)2024」で発表する。
開発技術の概要
開発技術のポイント
検証結果
複数の吸着パッドを持つロボットハンド