HacobuがJDSCと連携しAI活用した輸送量平準化支援サービス開発、キリンビバとアサヒ飲料が導入

HacobuがJDSCと連携しAI活用した輸送量平準化支援サービス開発、キリンビバとアサヒ飲料が導入

生産・在庫・販売の情報を共有、関連コスト低減など想定

Hacobuは10月29日、新たに輸送量の平準化を支援する生産・販売・在庫管理サービス「MOVO PSI」の提供を11月1日に始めると発表した。

メーカーと卸売・小売業の間をつなぎ、各社間でPSI(生産・在庫・販売)の情報を管理・共有して在庫の動向を予測、輸送を最適化できるようにする。各企業は同サービスを利用することで、日々のデータにアクセスし、過剰在庫や欠品を防ぎながら、在庫量や輸配送量を最適化することが可能で、輸送コストの削減、在庫効率の向上、欠品率の低減などにつなげられると見込んでいる。

同日、オンラインで記者会見したHacobuの佐藤健次執行役員は、新サービスについて「3年以内に100拠点程度で使われるようにしていきたい」と目標を語った。

「MOVO PSI」は2つのAI(機械学習)モデルを搭載。1つ目は卸売業や小売業からの受注を予測し、在庫の変動を正確に把握する。2つ目は、必要最低限の補充数量を毎日一定に保つため、膨大な組み合わせの中から最適なパターンを計算し、現場の実務を支援する。

新サービスは基盤の企画と販売をHacobuが、AIやデータサイエンスを活用した共通データ基盤の開発と提供をJDSCがそれぞれ担っており、JDSCの需要予測ソリューション「demand insight」(デマンド・インサイト)をベースに実用化へこぎ着けた。

Hacobuは2021年、キリンビバレッジと物流課題解決に向けた「輸送量平準化 共同プロジェクト」を開始。その一環として「MOVO PSI」のβ版を活用した実証実験を実施し、在庫日数や欠品率の削減など一定の成果が確認できたという。

併せて、23年から新たにアサヒ飲料がプロジェクトに参画し、キリン・アサヒ飲料の両社が各々で運用しているVMI(ベンダーによる在庫管理)拠点を対象に「MOVO PSI」を活用した検証を行ったところ、両社で輸送・在庫・欠品率の改善効果がみられた。

今後、キリンとアサヒ飲料は2025年春ごろまでに全VMI拠点で「MOVO PSI」導入の完了を目指す。自社における輸送の積載率向上やコスト削減、納品時の欠品率低減を図り、物流機能の持続可能性向上につなげていきたい考え。


小売業での需要変動が増幅するメカニズム

キリンは、2023年10~11月の2カ月分のデータを用いて実験を実施。その結果、輸送コストを約9.1%削減することに成功し、在庫日数も約13.2%短縮できたという。実験に当たっては、例えば最低発注ロットなど実際のオペレーションと同じ条件を適用することで、導入時でも同等以上の効果が出せることを確認している。

アサヒ飲料は2024年3~4月に実証実験を実施。より発注条件が厳しく、年始の需要変動が大きく難易度の高い24年1~2月の期間のデータを対象に実験を展開したところ、やはり輸送コストが約6.2%減り、在庫日数を約6.5%短縮することに成功した。

Hacobuはプロジェクトを通じて、卸売業、小売業への「MOVO PSI」拡大展開を推進し、飲料業界における「輸送量平準化」を目指す。

将来は他業界などの様々なステークホルダーとデータ共有・活用したオープンプラットフォーム化を推進し、共同輸配送・共同保管なども視野に入れた社会課題解決を促進する。

(藤原秀行)※いずれもHacobu提供

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