矢野経済研究所調査、ドライバーの負荷軽減など目的で拡大と指摘
矢野経済研究所は10月29日、国内の倉庫内物流テック市場に関する調査結果を取りまとめた。このうち、バース予約・受付システムについて分析結果を公表した。
2023年度のバース予約・受付システムの導入拠点数ベースの市場規模は、前年度比67%増の2500拠点と推計。ドライバーの負荷軽減や、待機時間の解消を目的とした導入が増加したほか、既にシステムを取り入れている運送事業者が他拠点にも同システムを採用するケースが散見されたという。
さらに、システムを入れることで現状把握のために可視化を求める荷主企業の新規導入も好調に推移した。今年4月以降も好調さを継続しており、同社は2025年度まで市場が拡大すると予測しており、24年度は40%増の3500拠点、25年度は20%増の4200拠点まで伸びると見積もっている。
バース予約・受付システムの導入拠点数ベースの市場規模推移(プレスリリースより引用)
倉庫内物流テックの今後の進展について、矢野経済研究所は独自の基準でデジタル化のフェーズ(段階)を5段階に分類。
具体的には、アナログ管理の現場を「ステップ0」、紙からITシステムへの移行によるデジタル化を始めた現場を「ステップ1」、システムやロボットを導入し、現状の可視化及び作業の自動化・効率化が行われている現場を「ステップ2」、自動化に加え、部分的に意思決定の判断をAIなどシステムが行うようになった現場を「ステップ3」、倉庫内以外の外部ITシステムとも連携し、全体最適を自律的に行えるようになった現場を「ステップ4」と定義している。
倉庫内作業の現在のフェースは概してデジタル化が実装されたところで、大手物流事業者は省人化システムやロボットの導入を行い、現状の可視化と作業の自動化・効率化を行っていると指摘。得られたデータを基に、「ステップ3:作業・判断の自律化」に向け取り組み始めている段階とみている。
今後はさらに自動化を進めるとともに、収集したデータを生かしてAIなどITシステムを活用し、物流全体を最適化するデータドリブンな物流を進めていくことが想定されると分析している。
中堅事業者は、「ステップ2:現状の可視化/作業の自動化・効率化」に取り組み始めたフェーズにあり、今後システム・ロボットの導入が進む工程が増えることで、可視化されるデータも増加していると展望。
最も多くの数を占める中小事業者では、まだ「ステップ1:デジタル化」の段階にとどまっており、アナログ作業からデジタル管理への移行を進めている最中で、データを一元管理することで新たな付加価値を生み出し、効率的な運用や意思決定を行う物流DXを進めていくためには、倉庫現場の標準化や、中小事業者におけるデジタル化の推進が必要と解説している。
(藤原秀行)