帝人が半導体製品向けにRFIDの所在管理システム開発

帝人が半導体製品向けにRFIDの所在管理システム開発

エイブリック高塚事業所へ導入で製品の探索時間を半減

帝人は6月10日、自社製品のRFID 管理システム「レコピック」を半導体製品向けに応用・運用を開始したと発表した。

アナログ半導体専業メーカーのエイブリック(千葉市)が千葉県松戸市内にて操業する高塚事業所で導入。2種類のICタグ情報をひも付けて対象物の位置を把握できるため、製品を探索する時間の削減やピッキングミスの防止につながり大幅な生産性向上が期待できるとしている。

同システムは管理対象物にICタグを貼付して入出庫やロケーション情報を正確に読み取って効率的に管理することを目的に2012年から販売。これまで図書館や医療機関などで業務効率化やサービス向上、経費削減などの成果を挙げている。

エイブリック高塚事業所では製品の保管状況を作業員がバーコード管理するなど生産性に課題があったことから、これに対応する新たなIoT(モノのインターネット)ソリューションの導入を検討。「レコピック」のピンポイントで正確なICタグの読み取り技術、既存の棚に簡便に後付けできる点などが高く評価され、 約1年にわたってシステム開発を行い導入に至ったもの。


帝人ニュースリリースより

電波制御で安定的にICタグを読み取るアンテナシートを活用して、電波が反射しやすい金属製の棚でも製品を置くだけで正確な位置状況を把握。製品の探索時間短縮や取り違え防止を図ることで生産性向上に寄与する。

またICタグを使用することでバーコードの読み取り作業を行わずに製品・搬送用ボックスの組み合わせと位置を検知。工程間で組み合わせや保管場所が変化しても情報の自動更新によって所在を常時管理することができる。

2種類のICタグ情報を連動させて1枚のアンテナシート内で対象物の位置を把握できるシステムの開発・導入は帝人としても今回が初めて。既に製品ロットの探索時間を 50%近く削減できており、今後は製品が棚に置かれた時間や持ち出した時間のデータを解析することでさらなる業務改善が図れると期待を寄せる。

両社は導入施設の拡大も視野に入れており、同システムによる取得データの活用方法の検討や導入効果を最大化するための検証を行う。ユーザーのエイブリックは引き続き積極的な新技術の導入によってコストとスピードの両立を考慮しながら、生産性向上と業務効率化を図り顧客ニーズにより一層応えていく考え。

帝人は人手不足や労務コスト上昇などサプライチェーンに関するさまざまな課題解決に向けてIoTソリューションを拡充していく方針だ。

(鳥羽俊一)

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