バリューチェーン全体をカバー
セイノーホールディングス(HD)は11月8日、アンカーLP(リードパートナー)として参画している投資ファンド「Value Chain Innovation Fund(VIF)」に関し、新たに福山通運がLPとして加わったと発表した。具体的な出資額は開示していない。
セイノーHDなどは2019年12月、物流業界でイノベーション創出を促進するため、セイノーHDをアンカーLP、ベンチャーキャピタルのSpiral Innovation Partners(スパイラル・イノベーション・パートナーズ)をGP(ゼネラルパートナー)とする投資ファンド「Logistics Innovation Fund投資事業有限責任組合(LIF)」を設立。総額70億円で運用を始め、スタートアップへの投資に取り組んできた。
その後、人手不足などの課題解決には物流領域にとどまらず、バリューチェーン全体をカバーする必要があると判断。昨年4月に承継ファンドとしてVIFを組成した。これまでにスタートアップ11社に投資している。VIFに対しては日本政策投資銀行などが既に出資している。
セイノーHDは福山通運と13年3月に業務提携をスタート、さまざまな連携を進めている。VIFへの参画でさらに取り組みを強化したい考え。
VIF概要
ファンド名 | Value Chain Innovation Fund 投資事業有限責任組合 |
無限責任組合員(GP) | Spiral Innovation Partners LLP |
有限責任組合員(LP) | セイノーホールディングス株式会社(アンカーLP) 株式会社日本政策投資銀行 福山通運株式会社 等 |
ファンド規模 | 100億円(予定) |
投資領域 | 物流周辺領域を中心としつつ、荷主企業のバリューチェーン全体への価値提供を行うスタートアップ |
投資ステージ | アーリーステージを中心に投資 |
投資ポートフォリオ | 個別企業投資、一部FoF(Fund of Funds)投資 |
URL | https://seinocvc.com/vif/ |
LIFが投資対象を物流周辺領域に限定しているのに対し、VIFは物流領域を投資対象の中心に置きつつ、その川上・川下にも投資領域を拡大し、人手不足などの問題に抜本的に対応できるようにすることを目指している。
VIFにおける投資領域のイメージ
LIFの出資先企業のエアロネクストとの事業連携で、セイノーHDは福山通運と中山間地域の共同配送に取り組むなど、これまでにも協力関係にある。ファンド参画でこうした連携のケースを増やしていきたい考え。
(藤原秀行)※セイノーHD提供