VTOL型ドローンの「レベル3.5」飛行実施体制を構築
実地試験中の機体
エアロセンスは11月29日、佐部浩太郎社長が「飛行機」の無人航空機操縦者技能証明(二等)を取得したと発表した。
同社は国内で初めてと説明。自社の垂直離着陸型固定翼ドローン(VTOL型ドローン)「エアロボウイング」をはじめ、固定翼ドローンによる難易度の高い「レベル3.5」飛行を実施する体制を整備できたと強調している。
政府は2023年12月、無人航空機操縦者技能証明を所有することを条件の一つとして、監視者などを置かずに道路や鉄道などを横断できるレベル3.5飛行の制度が新設した。
今年6月には同社の「エアロボウイング(AS-VT01K)」が固定翼を有するドローンとして初となる第二種型式認証を取得した。
「飛行機」の無人航空機操縦者技能証明に関する実地試験の申請受付も5月にスタートした。
マルチコプターと固定翼の両方のモードで飛行できるVTOL型ドローンの技能証明には、「回転翼航空機(マルチコプター)」と「飛行機」の両方の資格取得が必要とされている。
「エアロボウイング」によるレベル3.5飛行実現のため、「飛行機」の技能証明取得に向け準備を開始。指定試験機関の一般財団法人日本海事協会に出張試験の申し込みをするとともに、試験用の機体を新たに製作、試験場の確保などの調整を行い、実地試験の開催にこぎ着けた。
11月上旬に国内で最初となる実地試験を実施し、無事に合格した。「飛行機」の技能証明を取得することにより、既に保有している「回転翼航空機(マルチコプター)」の技能証明と合わせて、VTOL型ドローンによるレベル3.5飛行が実施できる条件が揃った。
無人航空機操縦士試験(二等飛行機)合格証明書
今回取得した技能証明のうち飛行機(二等)は、飛行機のマニュアル操縦や滑走路による離着陸が試験項目に含まれている。同社のエアロボウイングにはこうした操作上の困難を克服するために、飛行機モードでは自動飛行を行い、滑走路を不要とする垂直離着陸技術を実装済み。
技術開発により不要となった技能を習得しなければならない状況に対して、機体の仕様に合った技能の組み合わせで資格を取得できるよう、限定事項の変更やVTOL用の技能定義など、当局に対して働き掛けを行っている。
(藤原秀行)※いずれもエアロセンス提供