アイ・テック、トピー工業製鋼材輸送で鉄道活用したモーダルシフトへ

アイ・テック、トピー工業製鋼材輸送で鉄道活用したモーダルシフトへ

愛知~岩手間、トレーラー総走行時間を年間61%削減見込む

鉄鋼商社のアイ・テック(静岡市)は12月2日、トピー業、JR貨物、浜松委托運送、三八五通運の4社と「モーダルシフト豊橋北上コンテナ輸送協議会」を設立し、鋼材輸送で鉄道を活用したモーダルシフトを実施すると発表した。

トピー工業が製造した鋼材製品をアイ・テックの加工拠点「北上D・M・C」(岩手県北上市)に輸送する際、輸送工程の一部をこれまでのトレーラー輸送から新造したコンテナを使用した鉄道輸送に切り替える。

具体的には、トピー工業の豊橋製造所(愛知県豊橋市)~北上D・M・C間の鋼材輸送について、JR貨物西浜松駅、盛岡貨物ターミナル駅を経由して、鉄道輸送する。

トレーラーの総輸送距離を短縮し、年間のトレーラー総走行時間が61%削減できると想定、年間CO2排出量も65%の削減が可能と見込む。

この取り組みは国土交通省の「物流総合効率化法」に基づく総合効率化計画の認定を受け、「モーダルシフト加速化緊急対策事業」および「モーダルシフト等推進事業」に採択された。

現在、アイ・テックがトピー工業から購入する鋼材は、愛知県豊橋市に位置するトピー工業の豊橋製造所で製造している。

アイ・テックの北上D・M・Cへ鋼材を輸送し、その際に使用した積付用品を返送するためには、トピー工業のグループ物流会社が22tトレーラーで往復約1600kmの全区間を陸送するしか選択肢がなかった。

2024年問題を考慮し、安定した鋼材納入と輸送時のCO2排出量削減に向け、モーダルシフトに踏み切ることにした。

アイ・テックは「鋼材流通商社が主導し、鋼材メーカーや運送事業者と協同して、鋼材デリバリー方法のモーダルシフト化に取り組む事業は、業界内でも他にない」と強調している。

アイ・テックが得意とする形鋼類の輸送はトレーラーと配船の2種が主流。配船は荷役の都合もあって数百t~数千t単位をまとめて積載する必要があり、納期が長期化しやすいことが課題。

一方、トレーラーは輸送経路の融通が利きやすく小ロットでも輸送が可能なため、鉄鋼業界では従来トレーラー輸送に依存しがちだった。

【効果】※現状と同様の輸送重量(年間240回の鉄道輸送)を想定し算出
 ・省力化(トレーラードライバー削減総走行時間)
   2,256時間/年 (省力化率:61%)
 ・CO₂排出削減量
   170t/年 (削減率65%)

【輸送経路】
トピー工業豊橋製造所 → JR貨物西浜松駅 距離:40㎞  輸送手段:トレーラー
JR貨物西浜松駅 → JR貨物盛岡貨物ターミナル駅 距離:793㎞ 輸送手段:鉄道
JR貨物盛岡貨物ターミナル駅 → アイ・テック北上D・M・C 距離:49㎞ 輸送手段:トレーラー
アイ・テック北上D・M・C → JR貨物盛岡貨物ターミナル駅 距離:49㎞ 輸送手段:トレーラー
JR貨物盛岡貨物ターミナル駅 → JR貨物西浜松駅 距離:793㎞ 輸送手段:鉄道
JR貨物西浜松駅→トピー工業豊橋製造所 距離:40㎞ 輸送手段:トレーラー

輸送時は31ft無蓋コンテナを利用する。コンテナの上面と側面を開放可能な構造で、クレーンおよびフォークリフトでの鋼材の積み下ろしが可能。鋼材の長さが9.0m以下のものを積載する。

鋼材の積み込み後は安全への配慮と鋼材の保護のため、貨車用シートをかけて輸送する。アイ・テックとして2台を新造、トピー工業が新造した2台と合わせて計4台のコンテナを使用する。

今後は取り組みの進捗を踏まえ、コンテナ所有数を増やすことも検討する。

【サイズ】
外法:長さ9,410㎜ 幅2,490㎜ 高さ2,500㎜
内法:長さ9,181㎜ 幅2,323㎜ 高さ652㎜

(藤原秀行)※いずれもアイ・テック提供

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