三井倉庫グループと野村総研、物流1次データ用いたルートごとのCO2排出量算定で実証実験

三井倉庫グループと野村総研、物流1次データ用いたルートごとのCO2排出量算定で実証実験

高度な削減マネジメント可能に

三井倉庫ホールディングス、三井倉庫ロジスティクス(MSL)、野村総合研究所の3社は12月11日、トラックの走行情報、燃料消費量といった1次データを用いたルートごとCO2排出量算定の実証実験を、2023年10月~24年3月に実施したと発表した。

現在、製造業を中心に製品別カーボンフットプリント算定への取り組みが進む中、物流のCO2排出量(Scope3 カテゴリ4,94)の可視化、削減への取り組みが課題となっている。

 
 

また、トラック輸送におけるCO2排出量算定は、現時点ではトンキロ法など2次データ排出原単位を用いた手法が一般的なため、エコドライブや配送最適化、アイドリング削減など物流効率化の取り
組みを反映させるのが困難だった。

実験では、ロガー(記録計)を取り付けたトラックから実際の走行情報(走行距離、時間、ルートなど)や燃料消費量といったデータが取得できるかどうか、および各1次データを用いてルートごとに輸送物の製品単位でCO2排出量を算定できるかどうかの実現可能性を確認した。

3社は今回の実験の手法を用いれば、トラックの輸送実態に即したCO2排出量算定が可能となるため、エコドライブや配送最適化、アイドリング時間短縮などの物流効率化で減らせたCO2排出量の反映が可能となり、排出量削減マネジメントの高度化が期待できると想定。

今回の実験は三井倉庫HDとMSLが実験の対象となるトラック、物流拠点、貨物の提供などを担い、野村総研がロガーの調達・設定、データ収集基盤の環境構築などを手掛け、データの分析や考察を3社で行った。

物流分野では2023年3月に輸送のGHG(Greenhouse Gas)排出量の算定・報告に関する初の国際規格「ISO14083:20237」が発行した。3社はは今後も、「ISO14083:2023」に対応し、物流排出量の情報を効率的に収集する方法やデータ精度を向上させる取り組みを進め、物流から出るCO2の削減を目指す。

実験ではリアルタイムで取得したトラックの実際の走行情報と燃料消費量などの一次データを基に、走行情報からどの配送先に輸送したかを自動で判定。さらに、当該1次データをトラックの積荷情
報とひも付けることで、配送ルートごとに製品単位のCO2排出量を算定可能なことを実証した。

 
 

トンキロ法など2次データ排出原単位を用いた手法では考慮できなかった、各種の物流効率化の取り組みが反映可能になると想定している。

本実証実験の概要

 複数配送先を経由する実態の配送ルートに即した CO2 排出量を算定可能(ルート 2-1、2-2、4)
 配送ルート毎の積載率の差異による製品別 CO2 排出量を算定可能(ルート 2-1、2-2、4)
 配送後の戻りルートや配送前後の準備ルートの CO2 排出量を算定可能(ルート 3、5、1、6)
 倉庫・配送先での待機時間の削減による CO2 排出削減量を算定可能(倉庫、配送先 A、B)

物流効率化の排出量算定への反映可否

(藤原秀行)※いずれも3社提供

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