「参考売価」設定、受け入れなければ対抗措置
公正取引委員会は12月19日、福岡の家具卸売大手、関家具(福岡県大川市)に対し、自社で卸しているオフィス用椅子を値引きしないよう小売業者に要求していたのは独占禁止法で禁じている、小売業者の販売価格設定を制限する「再販売価格設定」に当たるとして、再発防止を求める排除措置命令を出した。
公取委によれば、関家具は遅くとも2020年2月以降、主力ブランドのオフィス用椅子「Ergohuman(エルゴヒューマン)」の家具を、自社で設定した「参考売価」と称する小売価格で販売するよう求めていた。
エルゴヒューマンは中国のメーカーが製造し、日本国内は関家具が独占販売している。
関家具は小売業者と新たに取引を始める場合や参考売価を引き上げる場合にはその都度、小売業者から参考売価を順守するよう同意を取り付けていた。
インターネット上で販売状況をチェックしたり、取引先から情報を得たりして、値引きを行っている小売業者に対して参考売価を守るよう要請。受け入れられない場合は出荷価格を引き上げて対抗していたという。
公取委は今度同様の行為をしないよう取締役会で決議し、再発防止の措置を講じた上で内容を速やかに報告するよう指示した。
関家具は12月19日、「お客様およびお取引先様をはじめ、関係者の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。当社といたしましては、この度の命令を厳粛に受け止め、今後は法令遵守の徹底と再発防止に努め、信頼の回復に全力で取り組んでまいる所存です」と謝罪する声明を発表した。
(藤原秀行)