最大15%まで保有比率高める目的、物流専業銘柄の注目度も向上か
NTT系のJリート、NTT都市開発リート投資法人は1月28日、シンガポールの投資会社、3Dインベストメント・パートナーズが、NTT都市開発リートに対して投資口(企業の株式に相当)のTOB(公開買い付け)を開始したと発表した。
3Dインベストメント系投資ファンドが同日、関東財務局に提出した公開買付届出書によると、同ファンドが1月28日から3月3日までの間、投資口1口当たり13万1890円で買い付ける。買い付け価格は、1月27日の投資口価格の終値(12万3300円)から約7%高くなっている。
同ファンドは発行済み投資口数の8~13%の取得を目指しており、既に保有している投資口と合わせると最大で15%に上る見通し。Jリート投資法人へのTOBは珍しい。
TOB実施の理由については、Jリート相場全体が割安になっていることを考慮し「これまでの純投資目的による対象者投資口の取得の延長として、対象者投資口を買い増すことを決定した」と言及。「議決権の行使により対象者の経営を支配すること、または重要提案行為等、もしくは役員の選任を通じて対象者の経営に影響を及ぼすことを目的としておらず、本書提出日現在において、その予定や見込みはない」と表明している。
NTT都市開発リートは1月28日、3Dインベストメント側から事前に連絡がなく、一方的に開始したもので、「公開買付届出書等の内容その他の関連情報を精査した上で見解を公表する」と説明。現時点で賛否を表明していない。
NTT都市開発リートはオフィスビルと住宅を投資対象に設定。Jリートへの投資を検討する際の指標として広く用いられている「NAV(純資産価値)倍率」は直近で0.8倍程度となっており、投資口価格が割安かどうかの目安となる1倍を割り込んでいる。3Dインベストメントは投資口の割安さに着目して追加投資を決めた。
今回のTOBは、物流施設を投資対象に据えているJリートに対しても投資家の注目度が高まる契機となる可能性がある。
(藤原秀行)