住商とセイノーHD、千葉県内で先進的エアモビリティ使用を想定した物流の実証実験

住商とセイノーHD、千葉県内で先進的エアモビリティ使用を想定した物流の実証実験

平時と災害時の双方で利用可能に

住友商事とセイノーホールディングス(HD)は2月21日、千葉県内で2月20日に、「空飛ぶクルマ」や大型ドローンなど先進的なエアモビリティ「Advanced Air Mobility」(AAM)の社会実装に向け、AAMの活用を想定した物流の実証実験を行ったと発表した。

実際にはヘリコプターを使い、平時の物流のオペレーションに加え、災害時の緊急輸送手段としての可能性も検証した。両社は課題を洗い出した上で、実用化に向けた取り組みを深化させる。

 
 


AAMを使っていると想定して投入したヘリコプター


実証実験の概要

セイノーHD傘下の西濃運輸が蓄積してきた配送データを用いたシミュレーションでは、千葉県南エリアのドライバー5人分の人件費を含む年間約1億円のコストメリットや効率化を確認したという。

両社の事業構想では、AAM輸送とファースト/ラストワンマイルのトラック輸送を組み合わせた新たな物流網を構築。AAMによって長距離トラック輸送の非効率部分を代替し、輸送時間短縮・人員負担軽減を実現するとともに、AAMの離発着場を物流ハブとして活用し、平時の配送効率向上と災害時の緊急物資輸送拠点としての両機能を担う「フェーズフリーモデル」を展開することを想定している。

将来は量子技術を活用して多数のAAMを一度にリアルタイムで制御したり、荷積み作業を自動化したりすることを目指す。

実証実験にはヘリコプター輸送を手掛ける朝日航洋、ラストワンマイル配送を担当する安房運輸、Mobilcoの両社なども参加した。

 
 


ローラーを使い荷物を積み込んだ


離陸するヘリコプター(いずれもプレスリリースより引用)

本実証では、西濃運輸の木更津支店から勝浦・鴨川への物資輸送ルートを設定し、トラックからヘリコプター(仮想AAM)への積み替え、飛行輸送、荷卸ろし・配送までの流れを検証した。

通常時を想定した勝浦ルートは商店街の商品(1パレット/200kg相当)を輸送し、トラック輸送が非効率な地域でのAAM代替輸送の可能性を検証した。

緊急事を想定した鴨川ルートでは食料・飲料水・簡易トイレ・粉ミルク・おむつなど緊急支援物資を空輸し、災害時の緊急輸送手段として活用できるかどうかをチェックした。また、自治体や協力企業の関係者が輸送オペレーションを見学し、AAM物流導入後の具体的な運用イメージを共有した。

(藤原秀行)

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