パイオニア、印刷業界の物流領域でCO2削減支援の実証実験を開始

パイオニア、印刷業界の物流領域でCO2削減支援の実証実験を開始

グーフと連携、複数拠点使い配送距離最短化する「適地生産」目指す

パイオニアと印刷物制作効率化を支援しているグーフ(東京都品川区大崎)は3月26日、印刷業のサプライチェーンにおける物流領域のCO2排出量削減に向け、実証実験を始めたと発表した。

印刷業界は多品種・小ロットへ対応するデジタル印刷の活用や、環境負荷を軽減する「グリーンプリンティング製品」の採用など、政府が掲げている2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向けた温暖化対策の取り組みが進んでおり、その一環として、複数拠点を活用して印刷物の配送距離を最短化する「適地生産」が、輸送コストに加えて物流プロセスのCO2排出量削減につながる有効な手段として注目されているという。

 
 

そこで、両社は実証実験で物流領域の脱炭素を促進できるかどうか見極めることにした。

具体的には、パイオニアが保有する、経路最適化のルーティング技術と、グーフ独自のデジタルプリンティングプラットフォームを活用。「適地生産」を行った際の輸送時におけるCO2排出量削減効果を可視化できるかどうか確認した上で、有用性を精査・検証する。

第1弾として、実在するEC企業のデータを基に実施したDM(ダイレクトメール)輸送時のシミュレーションでは、適地生産(1拠点→5拠点)を行った場合、最大82%のCO2削減が見込めることが分かったという。

両社は今後、さまざまな印刷サービス利用企業と連携し、カタログやノベルティーなども含めた幅広い印刷物、印刷場所や手法の組み合わせを対象とした「適地印刷」の有用性に関するPoC(概念実証)を展開。印刷業界の環境課題を解決する新たなソリューションの可能性を検討する。


1拠点→5拠点生産にした場合のCO2排出量比較


「適地生産」により、輸送時に発生するCO2排出量を最大82%削減(いずれもパイオニアとグーフ提供)

 
 

(藤原秀行)

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