対象物の形など事前学習不要
ソニーグループは12月7日、柔らかかったり壊れやすかったりする物でもロボットが適度な力で丁寧につかめるようにするマニピュレーター技術を開発したと発表した。
繊細な人の手を再現するため、圧力分布センサーを用いて未知の物体でも最適な強さを計算し、滑り落とさず、形をつぶさずにつかむことができるようにしている。併せて、距離センターで対象物までの距離を計測し、ちょうどよい位置でつかめるようロボットの指の位置を決めている。
工場や物流施設で稼働している産業用ロボットは、事前に対象物の形や重さ、つかめる場所などを学習させているケースが一般的。ソニーグループが開発したマニピュレーター技術を活用すると、事前学習が不要になるという。
同社がオンラインで公開したロボットのデモでは、1個ごとの大きさが異なるじゃがいもや柔らかいバラの花を落とさずつかんでいた。空の紙コップをつかんだ後、水を注いで重くなっても持ち続けていた。
同社R&Dセンターの坪井利充氏は「データを入力することなくその場で人間の手と同じか、それ以上に繊細に物をつかむことができるので、例えば食品陳列や料理など、今までロボットではできなかった領域の仕事を使うことができる」と解説した。
(藤原秀行)