JAXAの宇宙戦略基金事業に海運会社で初採択、船舶の研究開発など進める
日本郵船は4月22日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業「将来輸送に向けた地上系基盤技術」A)再使用機体の回収系に係る地上系基盤技術開発に採択され、4月17日にJAXAと本事業のキックオフミーティングを実施、研究開発を開始したと発表した。
同社は主にロケット本体の研究開発を担う三菱重工業と連携しながら、再使用型ロケットの洋上回収船の研究開発、事業化を進める。
日本郵船によると、海運会社がJAXAの宇宙戦略基金に採択されるのは初めてという。
同社は現行の中期経営計画で宇宙関連事業を新規事業の一つに設定。23年4月には先端事業・宇宙事業開発チームを立ち上げた。
中核の海運業で培った技術や知見を活用し、①洋上でのロケット打ち上げ、再使用型ロケットの回収など船舶を利用した宇宙事業②衛星データの活用③宇宙産業のサプライチェーンの高度化(ロケット・衛星の部品調達から打ち上げ、衛星の軌道投入までのサプライチェーン全体の最適化、高度化)——の領域で事業開発を進めている。
JAXAの宇宙戦略基金事業として採択されたのは「将来輸送に向けた地上系基盤技術」における「再使用機体の回収系に係る地上系基盤技術開発」。再使用可能なロケットを洋上で安全に捕獲、回収し、運搬することを可能とする洋上回収船の基盤技術の開発に取り組み、検証試験を進める。洋上回収船に関する概念設計承認(AiP)の取得も目指す。
(藤原秀行)