規制改革で全課題地域に適用目指す
ドローンなどの先進技術を活用した「新スマート物流」を普及させ、人口減少に直面する地方の物流ネットワーク維持を図る「全国新スマート物流推進協議会」は5月26日、過疎化やドライバー不足で地域のラストワンマイル配送維持が厳しくなっている現状を受け、ドローンなどの先端技術と地域の共助を組み合わせた新しい配送モデル「コミュニティ配送」の実現に向けた提言書を平将明デジタル行財政改革担当相に提出したと発表した。
提言書はコミュニティ配送の実現に向けた具体的な制度的課題を示した上で、全課題地域に適用可能にするための規制改革を求めている。
(左から)全国新スマート物流推進協議会・田路圭輔理事(エアロネクストCEO=最高経営責任者)、舩木直美副会長(山梨県小菅村長)、平デジタル行財政改革担当相、竹中貢会長(北海道上士幌町長)、河合秀治理事(セイノーラストワンマイル社長)(同協議会提供)
提言はコミュニティ配送を通じた持続可能な地域物流インフラの構築を目指していることを表明。具体的な定義として、一定地域内で荷物を集約拠点(デポ)に集め、その先のラストワンマイルの配送をドローンや自動運転車両、自動配送ロボットといった先端技術、または地域住民の協力による「共助」の仕組みで行うことで、持続可能で効率的な地域配送を実現するモデルを指している。
物流事業者は拠点までの配送をもって業務完了とするため、効率性が向上し、同時に地域住民の生活インフラとしての物流を確保できると想定している。
北海道上士幌町では、配送量の2割を占める農村部への配送に、全体の配送時間の8割を要するという極めて非効率な状況に陥っているという。提言はコミュニティ配送の活用でこうした窮状を打開していくことを狙っている。
さらに、コミュニティ配送のような仕組みを各地に展開するためには地域ごとの事情を踏まえた制度設計と合意形成の枠組みが不可欠との立場から、地域住民、物流事業者、自治体が一体となって協議し、地域物流計画を策定する「地域物流協議会」の設置を要請。公共交通分野で既に展開されている「地域公共交通会議」の制度設計を参考としている。
(藤原秀行)