多重下請け構造是正で利用運送事業者への規制など検討を提案★続報

多重下請け構造是正で利用運送事業者への規制など検討を提案★続報

国交省検討会が意見取りまとめ案を了承、具体的な内容は言及せず

国土交通省は6月17日、「トラック運送業における多重下請構造検討会」を開催し、トラック運送業の多重下請け構造是正に向けた施策などを盛り込んだ意見の取りまとめ案を提示、委員の了承を得た。

取りまとめ案は、元請けのトラック運送事業者に対し、今国会で成立した改正貨物自動車運送事業法が業務再委託の回数を2回以内に制限するよう努力義務を課すことを踏まえ、改正法に基づく改善状況を見ながら、必要に応じてさらに措置の導入を検討するよう提言している。

 
 

また、利用運送事業者について、荷主などから安値で業務を請け負い、結果として実運送を担う事業者が適正な運賃を受け取るのを妨げる事態を抑制するため「実運送にかかるコストを十分に認識した上で運送依頼を引き受けることが重要」と指摘した上で、「登録事業者の実態も踏まえ、あるべき規制のあり方について検討すべきである」との見解を示している。

ただ、貨物利用運送事業法の改正など具体的な規制や制度については言及せず、今後さらに官民の関係者間で議論を深めるよう求めている。改正貨物自動車運送事業法などで荷主や元請け運送事業者への規制を強化する動きが広がっているのを考慮し、まずは先行して関連法の効果を見極めていく姿勢を示している。

取りまとめ案はまた、「荷主と実運送事業者の間に介在する全ての者によって手数料の中抜きが繰り返されることが問題」と指摘。「実際に行っている行為や担っている運送責任の重さに応じて、法令上のカテゴリーを再整理することについても引き続き検討が必要」と訴えた。

このほか、荷物と車両を仲介するマッチングサービスについて、運送事業者をより広くカバーできることなどから多重取引構造の解消につなげる可能性があることを評価。同時に、極端な安値など不適切な取引を排除できないマッチングサービスが淘汰されるような環境の整備も必要との見方をにじませている。

(藤原秀行)

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