T2、「レベル4」自動運転トラック普及目指し日中運行の実証へ

T2、「レベル4」自動運転トラック普及目指し日中運行の実証へ

物流企業など5社と連携、リードタイム短縮図る

国内で初めて自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を開始したT2は7月15日、2024年11月に立ち上げた任意団体「自動運転トラック輸送実現会議 ~L4 Truck Operation Conference~」に参画している5社とともに、現状の「レベル2」自動運転トラック(ドライバーが同乗し、有事の際はすぐに運転を交代する)からより高度な「レベル4」自動運転トラック(特定条件下で完全自動運転を実施)に移行させる際、固有の課題となる「関東~関西間の日中運行のオペレーション構築」と「遠隔での車両監視および緊急時の対応の手順確認」に関する実証を7月中旬以降に始めると発表した。

「自動運転トラック輸送実現会議」は物流会社、自動車メーカーなど14社が名を連ね、レベル4自動運転トラックの社会実装に向け毎月協議している。今回、本会議に参画する企業間の共創が不可欠な課題を中心に抽出、新たな実証に踏み出すことにした。



日中時間帯を有効活用した運行オペレーションの構築に関しては、現在は運送各社による関東~関西間の長距離輸送は「夜間」の時間帯に集中しており、ドライバーの拘束時間を踏まえると、往復に2日以上かかっていることを問題視。ドライバーの乗車を必要としないレベル4自動運転トラックを実装し、「日中」の時間帯を有効活用すれば、リードタイムを1日に短縮し、輸送キャパシティーの増大が期待できるとみている。

また、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送では、インターチェンジ付近もしくは直結するエリアに、一般道における有人運転と高速道路における無人運転の切り替えを行う拠点の設置が前提となるため、時間帯によっては上記拠点のキャパシティーがオーバーする恐れもあり、運行ダイヤの適正化が課題となっている。

現状では運送各社は日中、一般道における集荷・配送に集中しており、幹線輸送する荷量が夜間と比較すると少ないため、この確保も必要となる。


切替拠点のイメージ

諸課題を踏まえ、「自動運転トラック輸送実現会議」に参画する福山通運、三井倉庫ロジスティクスの荷物を日中時間帯にT2の自動運転トラックで輸送し、上記切替拠点の通過に要する時間など運行ダイヤを確かめる実証に踏み切る。

時期 2025年7月23~24日
場所 関東~関西間の高速道路の一部区間で実施
役割 福山通運・三井倉庫ロジスティクス:積載貨物の提供、輸送オペレーションの提供
T2:全体マネジメント、実験用車両の提供、関東~関西間の輸送
トラック T2が開発したレベル2自動運転トラック(ドライバーが乗車し、レベル2相当で実施)
積載 福山通運、三井倉庫ロジスティクスの荷物
検証内容
  • 日中輸送における運行ダイヤ(切替拠点の通過時間等)の検証
  • 上記ルートにおける運行オペレーション・走行リードタイム検証
  • 想定したオペレーションパターンの有効性検証

また、レベル4自動運転トラックは無人状態での走行を前提とするため、事故や故障などの緊急事態が発生した際に適切かつ迅速な対応を取ることができる体制を構築する必要がある。そこでKDDIや三井住友海上、日本郵便とともに、レベル4自動運転トラックを想定し、緊急時の対応の手順を確認する実証も行う。

時期 2025年7月中旬以降
場所 関東~関西間の高速道路の一部区間で実施
役割 KDDI:通信ネットワーク・遠隔監視システム提供、正常監視、異常時切り分け対応
三井住友海上:緊急時の対応、現場駆けつけ・レッカー手配
日本郵便:一時退避場所(高速道路外)の提供
T2:全体マネジメント、実験用車両の提供
トラック T2が開発したレベル2自動運転トラック(ドライバーが乗車し、レベル2相当で実施)
検証内容
  • 遠隔監視での異常検知時の対応における実効性や課題の検証
  • 継続輸送体制構築に向けた検証
  • 関係機関との議論に向けた課題の検証



(藤原秀行)※いずれもT2提供

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