地元物流企業の開発物件を利用、27年竣工予定
サーモンなど水産加工・販売を手掛ける東京証券取引所上場のオカムラ食品工業は8月5日、青森を地盤とする物流企業の共同物流サービス(青森県八戸市)と連携し、同社が八戸市内で建設するセミ超低温(SF1)の冷凍庫を活用して
青森県内の青森サーモン保管・物流の中心となる拠点を設けると発表した。
オカムラ食品工業はマイナス30〜マイナス40℃の温度帯を「セミ超低温(SF1)」と定義。一般的な冷凍食品よりも厳しい温度管理が必要な食品の保管に使う。新たな冷凍庫の竣工は2027年の予定。同社は併せて、八戸港へのモーダルシフトにも注力する。
共同物流サービスが建設するセミ超低温冷凍倉庫
オカムラ食品工業は今年2月に公表した「中期経営目標2030」で、2030年のサーモン国内養殖量目標を、25年計画値3500tの3倍以上に相当する1万2000tと設定。達成に向け、養殖量拡大に加えて、後工程となる加工・冷凍保管・物流体制についても現状の3倍以上の規模が必要となるため、事業基盤整備を図っている。今回の新拠点もその一環。
SF1の冷凍庫は高品質なサーモン保管に不可欠で、同温度帯の倉庫を北東北(青森県・岩手県・秋田県)で建設するのは今回が初めて。養殖するサーモンの大部分の保管を新倉庫に委託することで、これまで青森県外に保管していたサーモンを県内に集約し、その物流保管業務を青森県内の産業に内製化させることを企図している。
また、八戸港を国内外への物流拠点とすることでモーダルシフトを促進することも想定している。サーモンの発送拠点に加え、飼料の仕入れ拠点としても八戸港を活用し、八戸から養殖拠点への県内物流の業務量を増大させ、八戸港の活用最大化を後押しする。
津軽・下北エリアの養殖・加工拠点に加えて、八戸エリアで保管・物流の機能を備えることで、サーモンの「オール青森産業化」に近づきたい考え。
(藤原秀行)※いずれもオカムラ食品工業提供