ANAが世界初、AI活用の乱気流予測システム導入

ANAが世界初、AI活用の乱気流予測システム導入

スタートアップのBlueWX開発、パイロットの揺れ報告数万件を学習

全日本空輸(ANA)は8月7日、高精度な気象予測を生かした航空輸送の安全性・経済性向上と脱炭素実現を目指すスタートアップのBlueWX(ブルーウェザー)が開発した、最新のAI(深層学習)技術を用いた新たな乱気流予測システムを7月28日に正式導入したと発表した。世界で初めての取り組みという。

新システムは2019年、ANAホールディングスと慶應義塾大学が共同研究を開始。その成果を基に、23年7月に慶應義塾大学発のベンチャーとして発足したBlueWXが提供している。

従来の予測手法とは異なるAI(深層学習)を利用した手法で開発を進め、その過程でANAグループ所属の2500人超のパイロットを対象とした4年間の評価プロセスを経て、予測精度と信頼性を向上させてきた。

並行して、BlueWXは世界中の航空会社から追加取得した乱気流情報を用いてシステムをさらに高精度化させ、世界市場を対象としたシステムの確立にこぎ着けた。

BlueWXは新システムを国内外の航空会社に向けて販売したい考え。

乱気流予測は利用者と乗務員双方の安全確保に不可欠で、ANAは従来よりも高精度な乱気流予測システムを取り入れることで、運航における安全性と快適性の向上を図る。

従来の乱気流予測が定型的な乱気流指標を踏まえて実施しているのに対し、BlueWXの新しい乱気流予測システムは、多数の複雑な気象情報と、過去10年以上にわたり蓄積してきた数万件のパイロットによる揺れに関する報告情報を、AI が学習することで、乱気流が発生する特徴量を的確に捉えることが可能となり、高精度な予測を実現できたという。

BlueWX予測モデルの予測精度は日本上空予測モデルの場合、正答率が86%に到達した。


従来予測とBlueWX予測モデルの比較。23年7月13日の日本時間午後5~7時の高度3万ftにおける予測(カラーバー)と乱気流報告情報(各色丸印)を重ね合わせている。左側の従来予測は乱気流報告情報と予測の位置が一致していな
いが、右側のBlueWX予測は一致している

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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