【現地取材】DHLサプライチェーン、アジア太平洋地域で初めて燃料電池トラックを導入

【現地取材】DHLサプライチェーン、アジア太平洋地域で初めて燃料電池トラックを導入

まず富士通向け業務に投入し実証開始、CJPTが協力

DHLサプライチェーンは8月8日、輸送領域の脱炭素化を進めるため、水素を用いる燃料電池トラック(FCトラック)の実証走行を開始すると発表した。同社グループがアジア太平洋地域(APAC)でFCトラックを導入したのは日本が初めて。

トヨタ自動車、いすゞ自動車、日野自動車、スズキ、ダイハツ工業が出資しているCommercial Japan Partnership Technologies(CJPT)がNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」の一環として実施しているプロジェクトに、DHLサプライチェーンがパートナー企業として参画。実証に協力し、実際の輸送業務に投入してFCトラックの実用性や環境性能を検証する。

今回導入を決めたのは2tのFCトラックで、搭載した高圧タンクに貯蔵した水素と大気中の酸素を燃料電池で化学反応させ、その反応で発電した電力でモーターを駆動させる。航続可能距離は約260kmを計画している。


導入するFCトラック

DHLサプライチェーンは8月5日、東京都内の自社物流拠点で、関係者を招いてFCトラックをお披露目するセレモニーを実施した。同社のジェローム・ジレ社長は「DHLグループとして2050年までにカーボンニュートラルを達成すると約束しており、今回のFCトラック導入はその達成に向けたステップの1つ。パートナーのご協力のおかげでプロジェクトを始めることができた。他にもEV(電気自動車)トラックの導入などでご協力いただいており、感謝申し上げたい。グリーン物流の実現へ重要な一歩になると確信している」とあいさつ。今後導入する自社車両の3分の1をEVやFCにすることを検討していると明らかにした。

また、今後実用化される10tのFCトラックを採用することにも前向きな姿勢を示した。

今回のFCトラック導入に携わった同社の小久江祥子ESG&サステナビリティヘッドは「環境に優しいロジスティクスの実現に引き続き取り組んでいきたい」と語った。


記念セレモニーで撮影に応じる(左から)三井住友銀行の高橋伸明法人戦略部長、CJPTの伊藤通規プロジェクトリーダー兼トヨタ自動車・CJP企画部長、DHLサプライチェーンのジェローム・ジレ社長と小久江祥子ESG&サステナビリティヘッド

第1弾として、富士通から受託している輸送業務に投入する。2025年中にFCトラックをさらに追加で導入し、他の顧客の現場にも投入することを想定している。

DHLグループは企業戦略「ストラテジー2030:持続可能な成長を加速する」で旧来の化石燃料に代わる新たなエネルギーの活用に注力する方針を打ち出しており、FCトラックの投入もその一環。

(藤原秀行)

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