厚労省が監督指導結果公表、改善基準告示違反も5割超す
厚生労働省は8月8日、全国の労働基準監督署などが2024年、トラックやバス、タクシーといった自動車の運転者を使用する事業場に対して実施した監督指導(立ち入り調査)や送検などに関する状況を取りまとめた。
監督指導を実施した4328事業場のうち、労働基準関係法令の違反が認められたのは81.6%の3532事業場に達した。
また、改善基準告示に違反しているケースを確認したのは54.5%の2360事業場に上った。
業種別の状況を見ると、トラックは監督指導を行った3424事業場のうち、労働基準関係法令の違反が見られたのは81.4%の2786事業場、改善基準告示違反があったのは58.2%の1994事業場だった。
いずれの割合も23年から大きく減少はしておらず、法令順守状況の改善が進んでいないことがあらためて浮き彫りになった。
トラックの労働基準関係法令の違反の内訳は、労働時間が44.0%(1506事業場)、割増賃金支払いが21.3%(730事業場)、労働時間の状況把握が6.7%(228事業場)だった。
改善基準告示違反は最大拘束時間が43.2%(1480事業場)、総拘束時間が30.2%(1034事業場)、休息期間が32.4%(1109事業場)、連続運転時間が28.2%(965事業場)、最大運転時間が19.0%(650事業場)となった。
労働基準関係の法令違反があったトラックの事業場の割合は、21年の81.2%(3037事業場中、2465事業場)、22年の82.8%(3079事業場中、2549事業場)、23年の82.2%(3711事業場中、3049事業場)とほぼ同じの高水準にとどまった。
改善基準告示違反の割合も、21年の57.8%(1754事業場)、22年の58.1%(1790事業場)、23年の53.9%(1999事業場)から再び上昇した。
一方、悪質な事案として送検した件数は59件で、このうちトラックが42件と大半を占めた。トラックの事業者の送検は21年の32件、22年の44件、23年の45件と推移している。
(藤原秀行)