新設計で蒸発損失ほぼゼロに
精密ポンプ大手の日機装は8月14日、米現地法人Clean Energy & Industrial Gasesグループ(CE&IGグループ)が現地の独立系ガス販売会社WestAir(ウェストエアー)と連携し、米国で新たに液化水素ステーションを建設すると発表した。
ボイルオフガス(蒸発した水素ガス)による損失をほぼゼロに抑える新設計を取り入れる。
世界各地で水素ステーションの建設が相次ぎ、CE&IGグループもこれまでに35カ所以上を手掛けてきた。今回のステーションはH35(充填圧力35MPa級)ディスペンサーでFC(水素燃料電池)バスに燃料として水素を供給するほか、水素を各地に配送するため水素運搬トレーラー(チューブトレーラー)に搭載したチューブ(高圧ガス容器)に充填することも可能になる。
水素はクリーンエネルギーとして有望視されている一方で、分子が極めて軽いため、わずかな隙間からでも漏れやすく、液体で貯蔵する際のボイルオフの扱いが大きな課題となっている。
新しいステーションはFCバスへの充填と水素運搬トレーラーへの充填の複合運用と、ボイルオフガス圧縮機の導入で、ボイルオフガスの損失をほぼゼロに抑えられると見込む。
将来はより高圧のH70(充填圧力70MPa級)燃料供給に対応させることも可能と見込む。拡張性の高さに加えて、液体貯蔵の水素供給拠点を増やす今回の投資は、南カリフォルニアで拡大する水素経済にさらなる弾みを付けると想定している。
(藤原秀行)