軽貨物ドライバーの安全運行管理支援アプリ「K-LINK」、荷主との転嫁交渉記録など機能強化へ

軽貨物ドライバーの安全運行管理支援アプリ「K-LINK」、荷主との転嫁交渉記録など機能強化へ

業界団体が表明、26年3月の3万件獲得目標維持

軽貨物事業者らの業界団体、全国軽貨物協会は9月17日、東京都内で物流事業者や通販事業者らが参加して安全対策など事業の適正化促進策を議論・確認する「貨物軽自動車運送事業適性化推進会議」の会合を開いた。

事務局を務める同協会は、今年4月に提供をスタートした、軽貨物ドライバーの安全運行管理を支援するスマートフォンアプリ「K-LINK」に関し、9月時点で導入数が目標の1万件にたいして1割の1100件にとどまっていることを報告。



ダウンロードアプリに移行して使い勝手を良くしたり、アルコールチェッカーとBluetoothで接続し、測定結果を取り込めるようにしたりと機能強化を図り、2026年3月時点の3万件の目標達成を引き続き目指す方針を強調した。

K-LINKは月額1000円(税別)で日常点検の記録や点呼、業務日報、事故報告まで簡単に作成、管理できるようになるのが特徴。同協会は会合で、健康状態の把握や安全管理者の講習受講などにも2025年度中に対応していく考えを示した。

併せて、K-LINKのeラーニング機能を使い、改正下請法やフリーランス新法の詳細を分かりやすく解説するとともに、ユーザーの順守状況をチェック、記録可能にすることも25年度内で可能にする意向を表明した。

さらに、中小企業庁が毎年3月と9月に設定している「価格交渉促進月間」を活用し、K-LINKで荷主との転嫁交渉の記録を保存、運賃の適正化を図る上で有効活用できるようにすることも、25年度中に実装する計画を明らかにした。

また、適正取引を図るため、ドライバーの拘束時間当たりの報酬基準を設けて採用を働き掛けていく方針を表明。時間帯3000円を目安にして認知の拡大に努めることを明らかにした。

このほか、全国軽貨物協会とは別途、来春をめどに事業協同組合の設立を図ることも公表した。



会合の冒頭、同協会の西田健太代表理事は「4月からは(軽貨物の安全規制強化など)規制元年とも言われているが、われわれは『適正化元年』ということで軽貨物業界の適正化を進めていく。必ず完成させていきたい」と決意を示した。

同会議はセイノーホールディングス(HD)や丸和運輸機関、SBS即配サポートなどの物流事業者、業界団体などで構成。オブザーバーとして国土交通省や流通経済大学、アマゾンジャパンなどが名を連ねており、軽貨物輸送時の安全確保や法令順守徹底、多重下請け構造の是正に向けた具体策を協議することを目的に掲げている。


会合の冒頭に発言する西田氏

(藤原秀行)

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