豊田通商と東亜建設工業、アンゴラ・ナミベ湾の包括開発プロジェクト完工

豊田通商と東亜建設工業、アンゴラ・ナミベ湾の包括開発プロジェクト完工

内戦で損傷した港湾インフラの復旧など担当

豊田通商と東亜建設工業は10月14日、アフリカのアンゴラ・ナミベ湾で進めていた包括開発プロジェクトの「サコマール港鉄鉱石輸出ターミナル修復事業」と「ナミベ港コンテナターミナル拡張事業」が10月10日に完工したと発表した。

アンゴラ1975年の独立以降、長期にわたる内戦の影響で港湾インフラが著しく損傷・老朽化し、南部地域の経済発展を阻んでいた。特にサコマール港とナミベ港は、鉱物資源輸出および生活物資の流通で重要な役割を担っており、近代化と機能回復が急務だった。



今回のプロジェクトは、アンゴラ政府の港湾再建計画の一環として、2019年1月に両社のコンソーシアムがアンゴラの交通省と請負契約を締結、2022年9月に着工した。


両港の位置図

サコマール港は1967年に開港し、アンゴラ南部のカシンガ鉱山から鉄鉱石を輸出する拠点として機能していた。しかし、75年から2002年まで続いた内戦で鉱山と港湾の操業は停止を余儀なくされ、長年にわたって荒廃した状態が続いていた。アンゴラ政府が国家戦略として進めているカシンガ鉱山の再開には、輸出拠点となるサコマール港の再建が不可欠だった。

本事業では、鉄鉱石積込用の新規桟橋(全長約520m)の建設、港湾後背地(ヒンターランド)の整備を手掛けた。

サコマール港鉄鉱石輸出ターミナルの修復により、同国南部のカシンガ鉱山で採掘した鉄鉱石の輸出を再開することが可能となり、原油輸出に大きく依存していたアンゴラの産業多角化につながると見込まれている。


現在のサコマール港



ナミベ港はモサメデス鉄道の起点として内陸部と結ぶアンゴラ南部の重要な物流拠点だが、従来は岸壁の水深が浅く、大型コンテナ船の寄港が困難で、隣国ナミビアのウォルビスベイ港に輸出入の一部を依存していた。

本事業はコンテナターミナルの建設、港湾の浚渫工事、コンテナクレーンを含む荷役機械・船舶運航管理システム(VTS)・作業船などの供給と据付を実施。今後は最大で5万DWT(3000TEU)級の船舶の受け入れが可能になる。

ナミベ港コンテナターミナルの拡張によって、大型コンテナ船が入港できるようになり、貨物取扱量の大幅な増加が期待できる。隣国に依存していた輸出入が、今後は自国の港で行えるようになり、同国南部地域経済の活性化が進むと想定されている。


現在のナミベ港

ナミベ湾包括開発プロジェクト概要

所在地

アンゴラ共和国ナミベ州

契約先

アンゴラ共和国交通省

契約金額

約700億円

資金調達

株式会社国際協力銀行(JBIC)および民間金融機関(株式会社日本貿易保険の貿易代金貸付保険付)からの協調融資

契約概要

ナミベ湾包括開発(建設)請負

(1)サコマール港鉄鉱石輸出桟橋の建設、浚渫、後背地整備など

(2)ナミベ港コンテナターミナル拡張・新ターミナル建設、浚渫、コンテナクレーンを含む荷役機械・船舶運航管理システム(VTS)・作業船などの供給/据付

(藤原秀行)※いずれも両社提供

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