米国が強く反対、産油国なども同調
国際海事機関(IMO)は10月17日、導入の議論を続けてきた、国際海運の船舶を対象とする新たな温室効果ガス排出規制に関し、採決を2026年まで1年間延期することを決めた。
IMOは10月14~17日に英ロンドンで開いた海洋環境保護委員会で、新たな排出規制の枠組みを盛り込んだマルポール条約付属文書改正案を採択する予定だった。
IMOが開催した海洋環境保護委員会(IMO提供)
新たな排出規制案は大型の外航船を対象に、使用する燃料ごとに温室効果ガスの排出量の基準を設定し、その基準を上回った船舶は負担金を支払う一方、基準を下回った場合はその分を他の海運会社に売却できる仕組みで、船舶版の排出権取引制度と言える内容だ。
今年4月に同委員会で改正案を了承していた。
海外メディアの報道などによると、地球温暖化に懐疑的な姿勢を強めるトランプ大統領を擁する米国が、賛成した国には制裁を科すことをちらつかせるなど強く反対しており、産油国なども同調した。中国やパナマ、リベリアも採決延期に回ったという。
1年間の採決延期で、IMOが想定していた新規制の2027年発効、28年適用開始は達成できるかどうか不透明感が強まっている。IMOが目標に掲げている2050年ごろまでに船舶からの温室効果ガス排出実質ゼロにも影響を及ぼしそうだ。