包装資材に傷や汚れ、「中身に問題なければそのままの荷姿で販売許容されるべき」
政府は7月26日、関係省庁や運送事業者、飲料メーカーの担当者らが参加した「飲料配送研究会」の報告書を公表した。
トラックで輸送する際に商品の飲料が損傷を受けた場合、運送事業者がメーカーから過重な補償を求められるなどのトラブルに発展するケースが絶えないため、研究会で今年3月以降、状況改善に向けた方策を協議してきた。
報告書は、段ボールなど包装資材に傷や汚れがあっても中身が毀損していなければ「そのままの荷姿で販売することは許容されるべき」と指摘。併せて、個々の商品の状態を特定する時間や人手が足りず包装資材の外観などから毀損の範囲を推定する場合は、事前に飲料メーカーが合理性のある判断基準を作成、運送事業者と事前に共有しておくことを提唱した。
標準貨物自動車運送約款などを踏まえ、毀損した商品の廃棄に当たっては、運送事業者が全額賠償した場合は所有権が運送事業者に移るのが原則と指摘。一方、メーカーがブランド信用力を損なわないため毀損した商品を運送事業者に渡さない場合は、運送事業者がいったん全額弁償して所有権を得た上で、メーカーが運送事業者から相当程度に値引いた金額で買い戻すことなどを提示。その旨を契約で明文化するよう求めた。
その際、毀損した商品の廃棄処分をメーカーが行う場合は、費用はメーカーが負担する必要があると強調した。
さらに、飲料メーカーや運送事業者の業界団体が専用の窓口をそれぞれ設け、企業からの相談に応えられるよう体制整備することや、研究会を今後も半年に1回程度開いて成功事例の共有と課題の解決を図ることなども盛り込んだ。
報告書と併せて、飲料配送中に貨物が毀損した場合、標準貨物自動車運送約款のどの細則を適用すべきかについて説明している。
研究会には政府側から国土交通、経済産業、農林水産の各省と国税庁、中小企業庁、公正取引委員会が参加。民間からは日本通運、鴻池運輸、鈴与、日本ロジテム、川崎陸送などの運送事業者とコカ・コーラボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナル、アサヒビール、キリングループロジスティクス、三菱食品、イオングローバルSCMが出席したほか、業界団体や学識経験者、弁護士も名を連ねている。
(藤原秀行)