人口密集地上空含む「レベル3.5」飛行は全国2例目
エアロネクスト子会社でドローン物流を手掛けるNEXT DELIVERYと栃木県足利市は11月28日、大規模災害に備えた物資輸送ドローンの飛行ルートを構築すると発表した。
11月26日に現地で検証フライトを実施、報道関係者に公開した。
今回の飛行は、10月29日の国土交通省航空局標準マニュアル(機上カメラ装置により立入管理措置をとる目視外飛行-「レベル3.5飛行」等)の改訂後、11月4日に和歌山市でNEXT DELIVERYが全国で初めて実施したDID(人口密集地)上空を含むルートの「レベル3.5」飛行に続き、2例目という。
2024年1月の能登半島地震で、NEXT DELIVERYは被災した孤立地域に向け処方薬や衛生用品等の物資をドローン配送した。有事における物資輸送としてのドローン活用の国内初の事例で、その後の災害時の物資輸送手段としてのドローン活用やフェーズフリー(有事と平時両方で使える)の地域防災インフラとしてのドローン活用が注目される契機となった。
足利市では2023年度、ドローン物流に関する実証実験を行い、2ルートを構築。その効果を確認したのを踏まえ、24年度は災害時に孤立する恐れのある地域などへの物資輸送手段の1つとして3ルートを新たに設け、今年度も引き続き、3ルートを新規で構築した。
今回構築する3ルートのうち、2ルートがDID上空を飛ぶという。

物流専用ドローン「AirTruck」の機上カメラ(FPV)から撮影した、DID地区上空を飛行する映像

「AirTruck」に荷物をセットする両毛丸善のスタッフ(北郷小学校)

グランドパイロットとして「AirTruck」の着陸を見守る両毛丸善のスタッフ (名草ふるさと交流館)
今回の事業はNEXTDELIVERYが令和7年度「足利市ドローン飛行ルート構築」として同市から業務委託を受け、実施している。
足利市とNEXT DELIVERYは、同市で自動車用・産業用燃料の販売などを手掛ける両毛丸善と今年10月8日、地域課題解決手段としてのドローンなどによる物流(新スマート物流)の可能性について研究を行うため、相互に協力することを確認し、覚書を締結した。
両毛丸善は、NEXT DELIVERYが開設を発表した物流ドローン運航オペレーションに関する人材育成プログラム「SkyHub(スカイハブ)トレーニングセンター」で、先行して事前にグランドパイロット(GP)認定講習を受講し、本検証フライトでも現地のグランドパイロット業務と補助者業務を両毛丸善が対応、3者協力体制で実施した。
■ルート構築概要
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目的と内容 |
大規模災害に備えた物資輸送ドローンの飛行ルート構築へ向け、大規模災害時の土砂災害等により孤立する恐れがある地域等の中から、3ルートの検証フライトを実施。 |
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フライト日 |
2025年11月26日(水) |
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飛行回数 |
各ルート1便 計3フライト |
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飛行ルートとDID上空フライトについて |
今回検証フライトを行う下記3つのうち2ルート(①②)でDID地区上空を飛行。 ①北郷小学校から名草ふるさと交流館の間 ②北郷小学校から三和公民館の間 ③小俣公民館からふるさと学習資料館の間 |
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使用機体 |
物流専用ドローンAirTruck |
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ドローン運航方法と体制 |
DID地区上空を通る「DIDレベル3.5」で自動遠隔運航遠隔運航を実施。 NEXT DELIVERYが山梨県小菅村から遠隔運航管理(リモートパイロット業務)を実施し、現地でのグランドパイロット業務、機体管理、補助者業務は両毛丸善が実施する。 |

今回DIDレベル3.5で飛行した足利市の2ルート(Google Earthを基にNEXT DELIVERY作成)
(藤原秀行)※いずれもNEXT DELIVERY提供



