製造業の管理職、最大の懸念は「物流コスト上昇」

製造業の管理職、最大の懸念は「物流コスト上昇」

キャディ調査、自動車業界は「関税」への警戒強く

製造業向けにAIで図面や仕様書などのデータ管理支援サービスを手掛けるキャディ(東京都台東区浅草橋)は12月4日、製造業で働く課長以上の管理職645人を対象とした「製造業2026年展望調査」の結果を公表した。

全体では「物流コスト」が最大の懸念になっている一方、自動車業界は「関税」を警戒している向きが多かった。キャディは自動車業界について、グローバルリスクへの感度の高さが浮き彫りになったとの見方を示した。

全体の平均で関心度が高かったのは「物流コストの上昇」が39.7%でトップ。続いて、「経済の停滞・落ち込み」(37.7%)、「為替変動円安」(34.0%)、「関税問題」(30.5%)が目立った。

ただ、自動車・輸送機械器具では「関税問題」がトップになるなど、業種によって回答の傾向に違いが見られた。

「円安」「物価上昇」の影響では、業種を問わず「調達コスト上昇」(85.4%)と「価格転化できず利益圧迫」(72.4%)が際立っており(当てはまるとやや当てはまるの合計)、「為替影響で利益がプラス」(30.7%)を大きく上回った。

調達や原材料リスクの見通しでは、全体の7割弱が「現在より悪化する」と回答。全業種で“悪化予測”が最多となり、リスクへの危機意識が浸透していることがうかがえた。

2026年以降の調達や原材料に関するリスクの見通しを聞いたところ、全体の68.5%が「現在よりも悪化する」を選択しており、厳しい見方が多いことが示された。

AI/ロボット技術の影響実感は、全体の半数超が「すでに影響」または「2〜3年以内に影響」と回答。最も比率が高かったのは電子・機密・情報機器(35.0%)、最も低かったのは素材・素材加工(21.8%)だった。

今後3年でAI活用を含む事業成長を牽引する人材層として「40代までの次世代リーダー候補」「30代までの若手層」に期待が寄せられていることが明らかになった。

・全体のトップは「40代までの次世代リーダー候補」(34.1%)」で、続いて「30代までの若手層」(26.5%)」となり、事業成長の面で若手〜次世代層への期待が強いことを示唆した。

業種別でもこの傾向は共通しており、全業種で「40代までの次世代リーダー候補」「30代までの若手層」が上位2つにランクインした。

今後の人手不足について、「さらに深刻化」「今と同じ程度で続く」と考える人が全体の8割を超えた。業種差は大きくないが、素材・素材加工や機械・設備など川上工程に近い業種で深刻化予測がやや高い結果となった。

労働時間規制について「今より長く働きたい」層が約半数を占め、長く働く意欲を持つ層が一定存在することが分かった。

・競争力強化のために「変える必要があること」は、「業務の属人化」(43.9%)が首位。自動車/輸送機械器具では「意思決定プロセス」が最多となり、業種による課題の質に違いが見られた。

26年に強化したいスキルとして、全体で最多となったのは「デジタル技術の活用」(27.9%)で、約4人に1人が、今後の業務に向けデジタルスキルを強化したいと考えていることが分かった。

===調査概要===================================

調査名称: あなたのお仕事についてのアンケート
調査期間:2025年10月24日(金)~ 11月13日(木)
調査方法:インターネット調査
調査対象者:製造業従事者、課長以上の役職者645名

(内訳)
①素材・素材加工(170名)
鉄鋼
非鉄金属
金属・樹脂部品加工業
金属製品

②機械・設備(132名)
はん用機械器具
生産用機械器具
業務用機械器具

③電子・精密・情報機器(200名)
電気機械器具
情報通信機械器具
電子部品・デバイス・電子回路

④自動車(94名)
自動車

⑤輸送機器(49名)
輸送機械器具 (自動車除く)

有効回答数:スクリーニング調査 6,000名、本調査 645名
表記:四捨五入し、小数第1位までの値で記載
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(藤原秀行)※いずれもキャディ提供

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