ロジ・嶋本社長はネットワーク整備に強い意欲表明
ニチレイは12月9日、東京都内の本社で、同社を含むグループの主要事業会社4社トップによる記者会見を開催した。
ニチレイの大櫛顕也社長は、グループの低温物流事業に関し「国内外でニーズと期待はさらに高まっていくと予想されている。経営環境の変化を踏まえ、収益力強化と資本効率向上を目指す」との決意を表明。
低温物流事業を担うニチレイロジグループ本社の嶋本和訓社長は、食品のメーカーや卸事業者が小売事業者への納品を効率化できるようサポートする低温物流ネットワーク「NL+LiNk」(エヌエルリンク)と、トラックドライバーを物流拠点の積み降ろし作業から解放して負荷軽減を図る輸配送システム「SULS」(サルス)の整備を継続して進め、持続可能性を向上させることに強い意欲を見せた。
大櫛社長はグループの低温物流事業について、ポーランドやタイで新たな物流センターを稼働させ、マレーシアで輸配送機能を持つ現地企業を連結子会社化していることに言及。欧州やASEAN(東南アジア諸国連合)の物流基盤強化を進めていると強調し、海外で輸配送や保管などを包括的に提供するワンストップサービスを拡充して「グローバルでの成長を一層推進していく」と明言した。
嶋本社長は、25年度の上半期(4~9月)は低温物流事業の売上高が前年同期比7%増の1472億円、営業利益が23%増の93億円だったと説明。減価償却方法の変更などの影響を除いた「実力ベース」でも営業利益は7%増えたと指摘し、総じて事業が堅調に伸びたとの見解を示した。
国内については「保管、輸配送、リテール、3PLの各事業で伸長し、荷動きの鈍化が継続する中でも高在庫、集荷拡大、効率化施策の効果などがあった」と分析した。
海外は英国で付加価値サービスの需要取り込みなどを進め、高い在庫率も収益押し上げに寄与したと解説。ポーランドの新設拠点の稼働遅延が減益につながったと説明しながらも、総じて堅調だと述べた。
エヌエルリンクはメーカーや卸事業者が商品を持ち込むTC(通過型)センターを北関東と東北の12カ所で運営しているほか、他社のTCの協力も得て配送ネットワークの拡大を進めていることを紹介。ニチレイロジ側が小売店舗への納品をメーカーや卸事業者に代わって行うことで、車両台数削減や商品の安定供給実現につなげられるとアピールし、「(協力運送会社などとの)連携を通じてサステナブルな物流の未来を目指す」と訴えた。
サルスに関しても、利用するトレーラーを増やすほか、フェリーも活用して輸配送ネットワークの強化を図る方針をあらためて表明した。
今年9月に開示した通り、マレーシアで低温物流を手掛ける現地企業ICCL Groupを子会社化することで、他のグループ企業ともタッグを組み、ASEANエリアの越境輸送を広げていきたいとの狙いを重ねて強調した。また、新たな進出国を探ることも明らかにした。
低温物流事業の通期業績に関しては、売上高が3000億円、営業利益が198億円を想定していると説明した。
自社開発の冷凍・冷蔵倉庫に加えて、不動産会社などが開発する賃貸物流施設を活用する方向性について問われたのに対し、「国内で自前の倉庫と他社のアセットをどこでどうやって使うか、よく研究している段階。それぞれの立地やキャパシティー、お客様の要望も踏まえ、そこでどれだけの価値を生み出せるかによってさまざまな組み合わせがあると思っている。自前投資と多謝アセットの活用は自由に選択肢を持って判断したい」と説明。賃貸物流施設の活用も視野に入れていく姿勢を見せた。
(藤原秀行)


