ヤフー、アスクルの資本・業務提携解消要求拒否をあらためて明示

ヤフー、アスクルの資本・業務提携解消要求拒否をあらためて明示

株式売り渡し請求にも応じる構えない姿勢強く示唆

ヤフーは7月31日、アスクルが資本・業務提携の解消を求めていることに対してコメントを発表した。この中で、提携を解消すればアスクルが展開している個人向けインターネット通販「LOHACO(ロハコ)」事業に悪影響を及ぼすとして、応じない姿勢をあらためて明確に示した。

また、アスクルが提携解消に向け、8月1日の臨時取締役会でヤフーにアスクル株式を売り渡すよう請求する方針を決める予定となっていることにも触れ、「当社による(アスクルの)株主総会における株主としての(岩田彰一郎社長と独立社外取締役3人の再任反対という)議決権行使が提携契約の違反に該当しない(売り渡し請求権が発生していない)ことは明らか」と断言。応じる構えのないことを強く示唆した。

「当社以上に企業価値向上できる相手」がいれば話は聞く姿勢も

ヤフーは提携に関し「BtoB専業だったアスクルがBtoC事業のLOHACOを開始してから現在に至るまで、ヤフーはBtoC向けサービスを提供してきた経験やノウハウに基づき、さまざまな支援を行ってきた」と説明。「ヤフーによるLOHACO事業への支援は、アスクルが単独で事業を運営するよりも成長スピードは加速され、規模の拡大も図ることができたと自負している」と自信を見せた。

さらに「当社とのシナジーをなくすことは事業の成長と黒字化を困難にさせる経営判断と言わざるを得ず、アスクルの中長期的な企業価値を著しく毀損させる。従って、アスクルの中長期的な企業価値向上、株主共同利益の最大化の観点からも、岩田社長はもちろん、業務・資本提携契約の解消を求める独立社外取締役3名についても信任はできない」との見解を再度繰り返した。

同時に、「提携契約とは無関係に、もしアスクルの企業価値をヤフーより向上できる株式の譲り受け希望者がいる旨のアスクル取締役会からの打診があれば、当該第三者の話を伺うことを拒否するものではない」とも述べた。

岩田社長らの再任反対の議決権行使については「上場企業のアスクルの経営の独立性を尊重することと、株主の議決権行使とは全く次元が異なる問題。岩田社長による主張は、株主総会が取締役の選解任を通じてガバナンスを効かせる株式会社制度の根幹を完全に無視しており、保身のために自身の社長続投を正当化しようとするものに他ならない」と手厳しく批判した。

(藤原秀行)

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