定時株主総会の議決権行使状況、社外独立取締役3人も同様の開き
アスクルは8月5日、同社が今月2日に開いた定時株主総会に提案した取締役候補の提案に対する株主の賛否状況を公表した。
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アスクル株式の約45%を保有して資本・業務提携しているヤフーと、第2位株主のプラスが反対した分を含めると、岩田彰一郎氏の社長再任には行使された議決権全体の79・20%が反対票を投じた。一方、ヤフーとプラスが行使した議決権を除いた分で見ると、反対は24・26%にとどまり、賛成が75・74%に上った。
ヤフーとプラスが同様に再任を反対した独立社外取締役の戸田一雄、宮田秀明、斉藤惇の3氏についても、ヤフーとプラスの議決権行使を含めた全体のベースでは反対がいずれも7割強に上った。半面、ヤフーとプラスを除けば3氏ともに賛成が9割を上回った。
他の取締役を見ると、ヤフー出身の輿水宏哲取締役は全体のベースでは賛成が96・90%なのに対し、ヤフーとプラスを除いたベースでは88・70%、ヤフー役員を兼務している小澤隆生社外取締役は全体が91・35%、ヤフーとプラスを除いたベースが68・52%と開きが見られた。
プラス社長の今泉公二社外取締役も、全体では賛成が91・37%なのに対し、ヤフーとプラスを除いたベースでは68・58%となった。同氏は株主総会を欠席した半面、直後の取締役会には出席したことが、アスクルの取締役や株主から批判を浴びている。
アスクルは岩田氏ら4人に対する賛成割合がヤフーとプラスを除いたベースでは過半数を大きく超えていたことなどを理由に「ヤフーとプラスの行った一連の行為は少数株主の意思と合致しているものとは到底言えず、当社はあらためて遺憾であることを表明する」との見解を示した。
ただ、総会の議決権行使の結果からは岩田氏と独立社外取締役だった3人の再任には、ヤフーとプラス以外にも一定程度反対があったことがうかがえる。アスクルは今後、欠席となっている独立社外取締役を選定するプロセスを公開すると説明しており、今までに以上に慎重な取締役会の運営を求められそうだ。
(藤原秀行)