次回会合で正式決定へ
政府は1月30日、物流関連施策の中長期的な方向性を示す「総合物流施策大綱」の策定に向け、有識者らが参加した検討会(座長・根本敏則敬愛大学特任教授)の会合を開いた。
事務局の国土交通省などが、新たな大綱が対象とする2026~30年度の5年間に講じるべき対応を盛り込んだ提言案を提示、公表した。
次期大綱の対象期間について「物流の未来を切り拓くさらなる飛躍の5年間となるよう、責任と覚悟を持って、一気呵成に施策を推進していくことを強く望む」と明言。具体策として自動運転トラックや自動物流道路の社会実装促進などを盛り込んでいる。
次回の検討会会合で正式に提言を取りまとめる見通し。
政府は提言を基に、今年3月末までに新たな大綱を閣議決定したい考え。大綱は定期的に内容を更新しており、今回が7回目。
提言案は、「物流2024年問題」などを受け、官民で取り組みを進めた結果、24年度に約14%輸送力が不足するとの予測をおおむね克服し、24年度を過ぎても物流の機能を維持していると説明。
その一方、政府が物流革新の「集中改革期間」と設定している30年度までの間、物流の担い手不足が深刻になる中、必要な物流の機能を維持するための施策の具体化・深度化が必要と指摘した。
政策の方向性は、物流の持続可能性確保と並行し、「わが国の成長エンジンや公共性の高いサービスとしての物流のポテンシャルを最大限に引き出すことが求められる」と強調した。
その上で、物流政策を「①徹底的な物流効率化」「②商慣行の見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換」「③物流人材の地位・能力の向上と労働環境の改善」「④物流標準化と物流DX・GXの推進」「⑤サプライチェーンの高度化・強靭化」——に分類。官民で物流に携わる全ての関係者が「一致団結して各種の取り組みを推進することが期待される」と明記した。
具体策として、「レベル4」(特定条件下での完全無人)自動運転トラックやダブル連結トラックの導入を支援することを明記。送電網や河川上空を使ったドローン航路や自動運転サービス支援道の全国展開を加速させることなどをあらためて盛り込んでいる。
自動物流道路を使った輸送力向上、自動運航船の商業化へ国内の制度整備などにも言及。また、物流効率化のためのモーダルシフトについても、船舶や航空機などさまざまな輸送モードを総動員することの必要性を示した。
トラック取引適正化の2法施行を受け、トラック運送業界全体の構造転換を進めるよう強く要望。2法施行に伴ってスタートする「適正原価制度」が運賃押し上げやドライバーの賃金改善につなげられるよう、適切な制度設計や荷主らへの周知・啓発を着実に進めることなどを求めた。
加えて、ドライバーや倉庫などの物流人材の育成プランを策定することや、特定技能・育成就労制度を利用して日本で働く外国人が物流領域で活躍できるよう環境を整備することも列挙した。
今年4月に改正物流効率化法が完全施行され、物流統括管理者の配置が一定規模以上の荷主企業に義務付けられることを踏まえ、物流統括管理者と高度物流人材の連携体制を具体化するよう要請した。
成田空港の機能強化を通じた国際航空物流拠点の整備、海運の国際競争力強化、北極海航路の利用など地政学的リスクの高まりを考慮した国際物流ネットワークの多元化・強靭化の促進、大規模災害への対策強化も打ち出した。
国交省などは併せて、次期大綱で設定するKPI(重要業績評価指標)の案も提示した。自動運転トラックの導入台数、トラックの積載効率、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間、トラックドライバーの年間所得額と平均労働時間、トラック運転に従事する若年層の割合、空港・港湾の国際競争力などを並べている。
(藤原秀行)











