PwCあらたのコーポレートサステナビリティー意識調査
PwCあらた有限責任監査法人はこのほど、事業活動を通じた環境保全や社会貢献を常に考慮しながら長期的に企業を存続させることを目指す「コーポレートサステナビリティー」に関する日本企業の意識調査結果を公表した。
コーポレートサステナビリティーやCSR(企業の社会的責任)といった概念の認知度は全体的に2年前の調査より高まっているものの、産業別の度合いを見ると、陸上輸送業は調査した概念5項目中、3項目で最も割合が小さいなど、関心が相対的に低いとみられることが浮き彫りとなった。
調査は2018年10月、全国の東証1部上場企業に4年以上勤続している26~59歳の男女2471人を対象に実施した。役員や経営者は対象から除外した。
「CSR」を「人に説明できるだけ知っている」と答えた割合は53・8%で、前回16年調査時の47・3%から6・5ポイントアップ。国連が提唱する「SDGs(持続可能な開発目標)」も16年の8・4%から22・9%、世界規模で温室効果ガスの排出量削減を図る「気候変動に関するパリ協定」は18・5%から24・9%、環境や社会、企業統治を重視する「ESG投資」は5・9%から13・6%となり、認知度が向上していることがうかがえた。
自動車関連が総じて割合低く
一方、産業別にこうした概念の認知度を見た結果、陸上輸送業は「コーポレートサステナビリティー」(14・4%)、「パリ協定」(同)、「SDGs」(9・8%)の3項目が最も低く、3~4割程度の上位陣と差が生じた。「CSR」(39・7%)と「ESG投資」(5・2%)はともに下から3番目だった。
5項目の認知度は総じて金融や商社、化学といった産業の割合が高く、陸上輸送や自動車製造、自動車部品といった自動車関連の産業で低かった。産業別の回答人数は開示していない。
PwCあらたの田原英俊パートナーは、陸上輸送などの認知度が低かった背景は分析中とした上で、「気候変動や人権保護などの重要課題へ取り組むことがなぜビジネスにとって重要なのかを開示すべきだ」と持論を展開。自社で発行するサステナビリティーリポートやCSR報告書をより活用していくよう訴えた。
(藤原秀行)