広域のインフラ点検や災害時の迅速な状況把握に対応見込む
ANAホールディングス(HD)は3月16日、中期経営戦略で掲げているドローン事業の2027年商用サービス開始に向け、スイスの産業用ドローンメーカーWingtra(ウイングトラ)と、日本国内におけるドローンを用いた広域測量・点検サービスの検討に向けた覚書を締結したと発表した。
航空運送事業で培ったANAグループの安全に関する知見と、垂直離着陸(VTOL)と固定翼の性能を併せ持つWingtra 機を掛け合わせ、従来のドローンでは困難だった広域のインフラ点検や、災害時の迅速な状況把握を可能にし、新たなデータ観測サービスの構築を目指。

覚書を締結したWingtraのVP Sales Karsten Robbins氏(左)とANAHDの津田佳明上席執行役員

雲仙・普賢岳での実証実験
提携に先立ち、長崎県の補助事業として、雲仙・普賢岳(水無川)で島原市やワイエヌコンサル、WorldLink & Company、国立研究開発法人防災科学技術研究所、Wingtraの協力を得て、砂防施設の測量・点検の実証実験を行った。
約30分のフライトで、東京ドーム約32個分に相当する約150haのエリアを網羅し、従来の回転翼ドローンを大きく上回る性能を確認したほか、取得した高精度データにより、施設の微細なひび割れや変状を検知することに成功、日常の管理業務がそのまま災害時の備えとなる「フェーズフリーモデル」としての有効性を検証したという。
ANAHDはWingtra の最新機体「WingtraRAY(ウィングトラレイ)」の日本国内における販売代理店契約に向けて協議するとともに、自ら運航を担うサービス提供も検討する。
単なる機体販売にとどまらず、操縦者育成トレーニングから機体メンテナンスまで、導入から運用までを包括的に支援できる体制の構築を図る。加えて、航空運送事業で培った高度な安全知見を活用し、国内の安全基準適合証明「第一種型式認証」の取得支援も検討する。
将来は有人地帯(第三者上空)で補助者なし目視外飛行「レベル4」を行えるようにするなど、より高度で広範なサービスの提供を加速させたい考え。

雲仙・普賢岳(水無川)での実証実験で生成した点群データ
◾️WingtraRAY
| 型式 | テールシッター型 VTOL 固定翼 |
| 動力 | 電動(バッテリー) |
| 寸法 | 125 × 68 × 12cm |
| 重量 | 機体重量:5.2kg / 搭載重量:1250g |
| 可搬ケース | 130 × 70 × 34cm(1人での持ち運びが可能) |
| 巡航速度 | 12m/s |
| 飛行時間 | 最大 59 分 |
(藤原秀行)※いずれもANAHD提供












