ヤフー・川邊社長、「20年代前半に国内EC取扱高首位」達成に強い自信表明

ヤフー・川邊社長、「20年代前半に国内EC取扱高首位」達成に強い自信表明

ZOZO前社長・前澤氏は「もう一度事業を一から興したい」

ヤフーがアパレルのインターネット通販大手ZOZO買収を決めたのを受け、両社幹部らが9月12日、東京都内で記者会見し、買収の狙いなどを説明した。

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ヤフーの川邊健太郎社長は、顧客基盤が自社のeコマースと異なるZOZOをグループに迎えることで事業基盤をさらに拡大させることができるとメリットを強調。以前から掲げている2020年代前半に国内EC取扱高首位との目標達成が「ZOZOとの提携でかなり現実的に、手が届きつつある」と提携効果発揮に強い自信を示した。

同日付でZOZOの社長兼CEOを退任した創業者の前澤友作氏は、経営の第一線から退く点について、かねて表明している宇宙旅行の準備で多忙になることと、新たに事業を一から興したいとの思いがあることが背景と説明。「これからも毎日が始まりだと考えて一生懸命生きていきたい」と述べるともに、古巣に残る同僚らにエールを送った。

ZOZOの澤田宏太郎新社長は「アパレル業界をこれまで以上に盛り上げていけることにわくわくしている。創業者が去るのは小さなことではないが、そういうときだからこそ臆することなく、養ってきた底力や挑戦心。新たなアイデアをどんどん生かしていきたい」と抱負を語った。併せて、前澤氏が残した成果を評価した上で「今後のZOZOはトップダウン経営から、社員1人1人の力を生かして組織の力を生かす経営に移行していく」と強調した。


会見する(左から)ヤフー・川邊社長、ZOZO・澤田新社長と前澤氏


撮影に応じる(左から)ヤフー・川邊社長、ZOZO・澤田新社長と前澤氏

「親子上場」、少数株主への配慮アピール

川邊社長は、ヤフーのECユーザーは年齢層が高いのに対し、ZOZOは若い人がメーンと指摘。「相互(のサイトから)送客することでシナジーを発揮できる。ZOZOと一緒にインターネットの未来をつくっていきたい」と力説し、ネット広告に次ぐ第2の柱としてEC事業をより成長させていくことに強い意気込みをのぞかせた。

買収後もZOZOが上場を維持する予定なのに関連し、ヤフーとアスクルの対立であらためてスポットが当たった「親子上場」による利益相反の問題への懸念が出ていることについては「少数株主も含め、全株主のためにいかにZOZOの価値を最大化するかに集中する」と語り、少数株主にも配慮していく姿勢をアピールした。

前澤氏は宇宙旅行に関し、現在表明している月よりも前に1度、別途体験することを明らかにし、そのための準備も忙しくなるとの見方を示した。新たに興す事業に関しては、まだ何も決まっていないと前置きした上で「急いで新しい事業を興したい。同じような思いの人がいれば一緒にやってもいいかなと考えている。複数の事業を同時並行で進めて社会変革するチャンスあれば積極的に取り組みたい」と話した。

澤田新社長は「この先の成長において、革新はもちろん大事だが、やはり同時に安定感が重要になってきている。安定的な成長を実現する上でのパートナーとして、ヤフーさんがベストだという判断をした」と説明。同時に「つまらない大人になるつもりはない。ある程度やんちゃな大人であり続けたい」とも述べ、安定成長と新分野への挑戦を両立する構えを見せた。


会見で社員のことを聞かれ、思わず涙ぐむ前澤氏

(藤原秀行)

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