【独自・動画】東京・晴海で楽天グループのロボット宅配デモに密着

【独自・動画】東京・晴海で楽天グループのロボット宅配デモに密着

臨海エリアの5万戸超をカバー、取り扱い商品は9500点に

楽天グループは2024年から、東京都の晴海など臨海エリアで、自動配送ロボットを使い小売店や飲食店の商品を定常的に配送するサービス「楽天無人配送」を展開している。注文のあった商品をロボットに積み込んで公道を走行し、対象エリア内の受け取りポイントまで届けている。1カ月当たりの注文数はサービス開始当初の4倍に拡大するなど、地域の日常風景として定着しつつある。

今年7月、晴海エリアでロボット宅配のデモに密着した。多くの人が行き交う平日のお昼時、出発地点から配達先に想定した場所までスムーズに走り抜けた。もうすぐサービス開始から2年となるが、ロボットはすっかり街の風景として溶け込んでいる印象だ。

※この記事は、弊社「月刊ロジスティクス・ビジネス」(LOGI-BIZ)2026年8月号に掲載したものを再構成しました


街中を走る自動配送ロボット

10台を地域で運用

7月のロボット宅配のデモは、実際の配送とほぼ同じ条件で実施した。まずロボットがお弁当を積み込むスポットまで自動で移動。その後は、配達先に想定したスポットまで、時に横断歩道を渡りながら、数百メートルの距離を走行した。

ロボットは米国で自動運転車や自動配送ロボットを展開しているスタートアップのAvride(アヴライド)製のものを採用、現在は10台を運用している。人が一緒に移動せず、ロボットが単独で走行。ロボットは各種センサーなどを搭載し、周辺に人や自転車を検知すれば自動で停止、衝突などのトラブルを回避する。横断歩道も青信号になるのを確認した上で走り出している。

荷物を収めるスペースは保冷が可能で、夏場でも安心して料理などを運べるよう工夫している。配達先に想定したスポットで、スマートフォンのアプリを操作してふたを自動で開けてお弁当を取り出した。


配送を待つロボットたち


赤信号を検知して横断を待つ

ロボットが移動している際、周辺では物珍しそうに見る人もいたが、全く意識せずに通り過ぎる人もいて、日常生活の一コマとしてかなり定着していることをうかがわせた。楽天グループは地域にロボットの存在を受け入れてもらうため、小学校に担当者が出張授業に出掛けたり、クリスマスのイベントにロボットを参加させたりと取り組みを続けており、そうした工夫が奏功しているようだ。


配達する商品を積み込む

楽天グループは配送現場の人手不足が将来さらに厳しくなることなどを踏まえ、2019年に千葉市の千葉大学の構内で自動配送ロボットを使って学生が専用の注文アプリで購入した商品を構内の生協から届ける実証実験を行うなど、各地で実用化に向けた取り組みを続けてきた。

22年からは1年以上にわたり、茨城県つくば市のつくば駅周辺エリアで、国内で初めて定常的に自動配送ロボットがカフェや飲食店などから商品を購入者に届けるサービスを展開。日中に加えて、夜間や雨天も配送した。

24年11月にはさらに歩みを進め、楽天グループとして新たに東京湾岸部の東京都中央区の晴海などのエリアで自動配送ロボットを使ったサービスを開始した。地域の飲食店などから配送を請け負い、1回当たり100円で料理などを注文した人に届けている。人口が密集している東京都心でロボットが料金を受け取り、定常的に商品を配送するのは国内で初めてだ。

機体自体は業界団体の一般社団法人ロボットデリバリー協会が定めた安全基準に基づく審査に合格済み。交差点ではロボットが信号を識別し、青信号に変わってから横断歩道を渡っている。歩行者や自転車などと共存できるよう、安全確保に最大限配慮している。

主に楽天グループが独自に開発した3種類のシステムを活用。一つ目が、サービス利用者が注文する際に使うスマートフォン向けの専用サイトだ。配送中のロボットの現在地を表示し、受け取り場所に到着したら通知する。二つ目が配送サービスを使う店舗向けの配送管理アプリだ。注文や配送の状況をタブレット端末で簡単に確認できる。さらに三つ目が、どのメーカーのロボットでも専用サイトや配送管理アプリで使えるようにするシステムだ。

住民らが専用サイトを通じて注文すれば、店舗で自動配送ロボットに料理などを積み込み、受け渡しエリアまで届けている。到着した後は専用サイトで操作、開錠してふたを開け、料理などを取り出す。当初は地域のカフェや食品スーパーなど3店舗でスタート。その後、ケーキ店やコンビニ、100円ショップ、文房具店などが徐々に加わっている。

具体的な配送の件数実績は開示していないが、サービスを始めた24年11月に比べて注文の件数は今年6月が4倍以上に伸びているという。チェーン店だけでなく、地域に根差した店舗も参加している。

晴海エリアは再開発が進み、超高層のタワーマンションも続々と登場するなど人口が増えている上、共働きや子育て中の世代が多く在住している。楽天グループはそうした地域の特性から配送需要が見込めると判断、都内で初めて自動配送ロボットを投入するエリアに選んだ。

楽天グループで自動配送ロボットの事業を担当している無人ソリューション事業部ロボット事業課サービス企画グループの柳瀬俊吾マネージャーは「道幅が広く、段差も比較的少ない。非常にロボットフレンドリーな街並みだったことも重要な選定理由の一つになった」と語る。


街中を走行する

店舗の商品積み込みも代行

楽天グループが独自に開発した配送管理システムを使ってロボットをそれぞれの配送に割り振っており、稼働率向上に努めている。例えば、ある注文に対応して指定の受け渡しスポットまでの配送を完了したロボットは、近隣で別の注文が入れば、いったん待機場所に戻るのではなく、そのまま次の店舗へ直行させるようシステムが自動配送ロボットに指示している。

過去に実施してきた実証走行などでは楽天グループのスタッフが走行するロボットに追随し、安全を確認していたが、東京都心の配送サービスは遠隔監視によりロボットが単独で移動している。

宅配を利用する店舗側の負荷軽減も念頭に置いている。注文があった商品を自動配送ロボットに積み込む作業は、店舗の人に代わって楽天グループが配置している、「ピッカー」と呼ぶ作業スタッフが担っている。また、現在は楽天グループが商品の購入者から配送料を受け取っているが、店舗からは手数料といった料金は徴収していない。

柳瀬氏は「参加していただける店舗の数を増やすことが、このサービスが普及する上で大きな鍵を握っている。そのため、ハードルを下げることにした」と狙いを解説する。

楽天グループは今年9月、配送サービスの対象地域を豊洲エリアにも広げることを発表した。宅配の対象店舗は豊洲に所在する14店舗が加わり、全地域で44店舗まで拡大。取り扱う商品ラインアップは食料品、フード、カフェ・スイーツ、日用品・雑貨のトータルで9500点を超えている。利用可能な世帯は5万戸を突破しており、ロボット宅配はさらに浸透しようとしている。

(藤原秀行)

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