保管業務の中止なども
台風19号による強風や大雨などを踏まえ、物流事業者が安全確保のために休業を決める事例が相次いでいる。国土交通省が10月12日正午時点でまとめたところによると、宅配はヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、福山通運が東京、神奈川、千葉など19都県で窓口業務を休止したり、荷物の集配に遅れが生じたりしている。
他にも、ニチレイロジグループ本社は同12日、関東地区全域と東海地区の一部の保管事業を原則中止としている。マルハニチロ物流も関東地区や塩釜物流センターの営業を中止。フェデックスは東日本の業務などを休止しているほか、郵船ロジスティクスや阪急阪神エクスプレスも成田空港などのロジスティクスセンターで終日営業を停止している。
改正貨物自動車運送事業法は、運送事業者の法令違反行為の原因となっている恐れがある行為をしていると疑われる荷主企業に対し、国が改善を働き掛けたり要請したりした上で、果たされない場合は勧告に切り替え、社名を公表することを打ち出している。その対象となる行為の1つに「輸送の安全確保義務違反を招く恐れのある異常気象時など、安全な運行の確保が困難な状況で運行を強要するような行為」が含まれている。
政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを図る「ホワイト物流」推進運動でも、賛同を表明している全国の荷主企業と物流事業者277社・団体のうち、自主行動宣言の内容を明らかにしている製造業118社の5割が「異常気象時等の運行の中止・中断等」を選択。台風の際には無理に製品輸送などをしないとの認識が荷主企業の中でも広がり始めている。
今回の台風19号もまさに「異常気象時」に該当すると考えられるだけに、無理なトラック輸送などを行わないことが荷主企業と物流事業者の双方に期待されている。
(藤原秀行)