庁舎内にも導入し利便性アピール
国土交通省が宅配便の再配達問題解消に向け、不在時に荷物を納めておく宅配ボックスの普及を後押しする方策を相次ぎ打ち出している。
建築基準法を改正し、オフィスや商業施設にも設置しやすくすることを発表。併せて、東京・霞が関の同省庁舎内にも初めて宅配ボックスを配置し、利便性をアピールしている。
政府は今年6月に閣議決定した新たな成長戦略「未来投資戦略2018」に建築物への宅配ボックス設置促進を盛り込んだ。宅配便で届けられる荷物の1割強に上る再配達を減らし、トラックドライバーの負荷を減らして人手不足を改善したい考え。
国交省は既に昨年11月、マンションなど共同住宅を対象に設置の規制を緩和する方針を決定。共用廊下と一体になった宅配ボックスの設置部分に関しては建物の容積率を計算する対象から上限を設けず除外することにした。規制緩和に伴い、宅配ボックスに充てる分の容積率を別の賃貸スペースに活用できるようになった。
今回はさらに緩和を拡大。今年6月に成立した改正建築基準法に基づき、同法の施行令を見直し、9月25日以降は建物の用途や場所を問わず、宅配ボックスの設置場所を一定範囲内で容積率規制の対象外とすることにした。
中央省庁初の常設に切り替え
9月11日には、国交省職員の福利厚生拡充の一環として、同省などが入居する中央合同庁舎3号館の敷地内に、PackcityJapan(東京)が展開している宅配ボックス「PUDOステーション」を取り付け、利用を開始した。3号館ではこれより先、昨年7月に宅配ボックスを試験的に配置していたが、普及を後押しする狙いも込めて、中央省庁で初めて常設に切り替えた。
業務で使う物を受け取ったり、自宅以外の場所で宅配荷物を届けてもらったりする使途を想定。同省の職員以外でも庁舎を利用する人は宅配ボックスを使えるようにしている(宅配ボックス利用のみの入省は不可)。当初はヤマト運輸と佐川急便が配送を担い、順次業者を追加していく見通し。
同日の設置イベントに出席した同省の秋本真利政務官は「宅配便再配達の削減に役立つので、われわれが先頭に立って普及を促進していきたい」と意気込みを語った。
(藤原秀行)
宅配ボックスの設置を促進(国交省提供)