一方的規約変更で独禁法違反と反発
楽天が運営しているインターネット通販サイト「楽天市場」に出店している一部事業者らが1月22日、公正取引委員会に対し、同社が3月18日から商品を3980円以上購入すると一部地域を除いて送料を無料にする方針を決めたことが、独占禁止法で禁じる「優越的地位の乱用」に該当するとして調査を要請した。
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同日、公取委に約1700筆の署名を提出した。公取委は実態を調査の上、独禁法違反に当たるかどうかを判断する見通し。
一部事業者ら約300人が加盟している任意団体「楽天ユニオン」は、送料無料は優越的な立場を利用した一方的な規約変更であり、価格に送料分を転嫁できなければ事業者の負担が増えると指摘。方針の撤回を楽天に求めている。楽天ユニオンは他にも決済システムの導入強制などに反発している。
楽天市場は現在、出店事業者がそれぞれ送料を決定したり、送料無料とする金額の条件を定めたりしており、出店事業者によって対応にばらつきがある。楽天は送料が無料になる条件を一律に明示することでユーザーが商品を購入しやすくなり、売り上げの伸びが期待できるとみている。送料無料と設定しても、商品価格に上乗せすることで対応可能と判断。3980円未満の場合は出店事業者が独自に送料無料の水準を決められるようにする。
一方、出店事業者からは「送料上乗せで値上げになれば売れなくなる」「どの地域に送るのか事前に分からないのに送料をあらかじめ算出して上乗せするのは困難」などと懸念する声が噴出。物流業界でも送料無料のしわ寄せが来ることを懸念する向きがある。現状では楽天は送料無料の実施時期変更に応じる姿勢を見せていないが、公取委の判断次第では軌道修正を強いられる。
(藤原秀行)