業務の進捗やロボットの稼働状況をリアルタイム監視、人員配置の精度向上
物流業務効率化の新技術開発を手掛けるスタートアップ企業のGROUND(東京)はこのほど、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた「第4回ロボデックス(ロボット開発・活用)展」に、物流センターの現状を分かりやすく見える化し、業務を適切に管理できるようサポートするソフトウエア「Intelligent EYE(インテリジェントアイ、IE)」を出展した。
同社がこれまで開発を進めてきた、AI(人工知能)を駆使した先進的な物流ソフトウエア「DyAS(ディアス)」などと連携。業務の進捗など逐次変化する庫内の環境をリアルタイムで把握、ダッシュボードとして表示することで作業の遅れやトラブルを現場の管理責任者らが迅速に共有し、荷量増加などへの対応を速やかに講じられるようにする。計画と実績を比較し、達成状況を細かく管理する「予実管理」の実現につなげるのが目的だ。
同社は既に、庫内のピッキング作業の効率化・省人化につながる独自の自律型協働ロボット「PEER(ピア)」を展開、2019年にはアパレル向けECシステム開発などを担うダイヤモンドヘッドが千葉県柏市に構える物流センターに初めて納入した。IEも早期に稼働させ、物流現場のサポート範囲を大きく拡大させていくことを狙っている。IEは現在、物流事業者らと現場で最終的なトライアルを進めており、同社は2020年中にも提供を開始したい考えだ。
開発を手掛けてきた同社の小林孝嗣CTO(最高技術責任者)は「従来の物流現場はどうしてもアナログ環境下でデータの蓄積が十分なされてこなかった。当社のIEで現場をデジタル化し、あらゆる作業を可視化することで庫内作業の管理を担当される方々のサポートを強化していきたい」と意気込みを語った。
KPIの達成度合いをグラフで見える化
IEはクラウドベースで提供することを想定。DyASのほか、顧客が運用している既存のWMS(倉庫管理システム)などと接続し、物流センター内のピッキング作業の進み具合やマテハン設備の稼働状況などに関する膨大な情報を蓄積、分析する。
顧客が設定しているKPI(重要業績評価指標)の達成度合いや当日予定している作業処理の進捗状況をグラフで表示、現場の管理責任者は数値を見ながら、スタッフの配置を変更するなど、その都度対処できるようになると期待されている。庫内でロボットが稼働している状況なども明示することが可能。
また、過去の出荷動向などのデータを蓄積しておけば、商品が非常に売れる時期などを押さえて作業量と必要な人員数をあらかじめ算出。管理者が適正な人員で波動を乗り越えられるようサポートする。ロボットとダッシュボードを接続すれば、ロボットの稼働状況や現在位置を自動的に把握、表示する。
クラウドベースの特性を生かし、ダッシュボードはパソコンやタブレット端末、スマートフォンと異なるデバイスからそれぞれ閲覧、庫内の生産性などのデータを外出先でも確認できる環境を整備する。
作業の進捗やロボットの稼働状況などをリアルタイムで表示
(藤原秀行)