一五不動産情報サービス調査、需給バランス改善続く
一五不動産情報サービスは2月28日、2020年1月時点の賃貸物流施設市場の動向に関するリポートを発表した。
東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県)の空室率は1・9%で、前回調査の19年10月時点より0・7ポイント低下した。3四半期連続で前期より下がり、15年10月(1・9%)以来4年3カ月ぶりに1%台を記録した。
今期(19年11月~20年1月)は新規供給が24・7万平方メートルと前期(19年8~10月)の4分の1程度にとどまったこともあり、需給バランス改善がさらに進んだ。
今期に完成したのは東急不動産の「LOGI’Q三芳」、ESRの「ESR守谷ディストリビューションセンター」、三菱商事都市開発の「MCUD八千代」、東急不動産の「LOGI’Q白岡」「LOGI’Q習志野」など6棟。このうち5棟が満室稼働だったと指摘している。
一五不動産情報サービスは今後の展望について「物流施設の開発は巨大化しているが、20年中に竣工する開発計画に限れば、延べ床面積で20万平方メートルを上回るような超巨大な開発計画はない。マルチテナント型物流施設のプレリーシングも順調であることから、当面は需給悪化に陥る懸念は小さい」と分析している。
20年1月の東京圏の坪当たり募集賃料は4370円で、前期(4280円)から2・1%のプラスとなった。上昇したのは2四半期連続で、神奈川県では08年7月の調査開始以降で最高の4800円に到達した。
東京圏の空室率と需給バランスの動向(一五不動産情報サービスリポートより引用)※クリックで拡大
関西圏も4年3カ月ぶり2%台
関西圏(大阪、兵庫、京都の2府1県)の空室率は2・8%で、前期から0・4ポイント低下。17年10月から2年以上にわたって需給の改善が続いている。2%台となったのは直近では15年10月以来、4年3カ月ぶり。
今期は新規供給が23・0万平方メートルとここ数年の平均的な水準だった一方、新規需要は31・8万平方メートルと旺盛なことが空室率低下を牽引した。
今期に完成した日鉄興和不動産の「LOGIFRONT尼崎Ⅰ」、オリックスの「枚方Ⅱロジスティクスセンター」(*11)など3棟が新たに竣工し、うち2棟が満室稼働だったという。
今後の展望については「20年上半期に竣工する物件は入居テナントが確定したBTS型物流施設が大半であることから、空室率はさらに低下する見込み。20年6月末に延べ床面積が40万平方メートル近い『ESR尼崎ディストリビューションセンター』の竣工を控えるため、その段階では一時的な空室率な上昇が見込まれるが、全般的な需給環境は安定的に推移する」と予測している。
坪当たり募集賃料は3720円で、前期(3560円)から4・5%上がった。17年7月の3310円から上昇基調が継続している。
調査は延べ床面積、敷地面積のいずれかが1万平方メートル以上の賃貸物流施設が対象。対象は東京圏が430棟、関西圏が119棟だった。
関西圏の空室率と需給バランスの動向(一五不動産情報サービスリポートより引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)
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