改正特措法で都道府県知事が判断と規定
政府が新型コロナウイルスの感染拡大阻止へ、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて発令している緊急事態宣言は、対象が東京など首都圏4都県と北海道に絞られることとなった。残る都道県に関し、期限の5月末より前に解除できるかどうか、政府は引き続き感染状況などを注視する構えだ。
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改正特措法は緊急事態宣言の対象となっている都道府県の知事らが緊急物資の運送をあらかじめ「指定公共機関」と定めている物流事業者に要請できると規定。物流事業者が応じない場合はより強制力のある「指示」をすることを可能にしている。ただ、新規感染者数は全国的に減少傾向にあることなどから、現状では指定公共機関の物流事業者への要請や指示は行われないまま、宣言が終了する公算が大きくなっている。
改正特措法に基づき、指定公共機関には貨物運送大手5社、JR貨物、フェリーやタンカーを航行している水運17社などが名を連ねている。主要な物流関連企業が緊急時に医薬品などの物資輸送を担う役割を明確に示しておくことで、医療など重要分野のロジスティクスが有事でも機能するよう担保する狙いがある。都道府県知事らが要請や指示をした場合、すみやかにその事実を公表することとなっているが、現状では要請や指示に踏み切った事例は確認されていない。
改正特措法などでは、具体的にどのような状態になった場合、物流事業者へ要請や指示ができるのか条件が明示されておらず、知事らに判断が丸ごと委ねられている格好だ。今回は幸いにも医薬品などの物流を確保しなければならないほどの大混乱が生じなかったといえそうだが、感染症拡大による緊急事態宣言の発令は国内でも初めてのケースだけに、知事らにとっても判断が容易ではなかった側面もありそうだ。
(藤原秀行)